【ロルフ・デ・ヒーア特集】『The Quiet Room』私は七歳。私は犬になりたい。

ザ・クワイエット・ルーム(1996)
The Quiet Room

監督:ロルフ・デ・ヒーア
出演:クロエ・ファーガソン、ポール・ブラックウェル、セリーヌ・オラーリetc

評価:65点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

アブノーマル』のカルト映画監督ロルフ・デ・ヒーアが初期の頃に撮った作品『The Quiet Room』を観ました。

『The Quiet Room』あらすじ


A seven-year-old girl adopts a vow of silence in protest when her quarrelsome parents grow increasingly hostile to one another.
訳:7歳の少女は、彼女の喧嘩っ早い両親がお互いにますます敵対的になるときに抗議の沈黙の誓いを採用しています。

私は七歳。私は犬になりたい。

金魚を見つめる少女がまくし立てるように感情を語る。彼女は七歳。彼女は今不安を抱えている。だが、その正体を表す単語や概念を知らないので、彼女は空想や絵で観客に向かって説明し始める。どうやら、彼女の両親は『マリッジ・ストーリー』の夫婦のように倦怠期に陥っており離婚するかもしれないのだ。心の中を投影したような、ふわふわとした映像の中で夫婦が口論しているかに思えるシルエットを物陰から彼女が眺め、「構って、眠れないの」と駆け寄る。それは単純に愛情を求めているためではなく、夫婦が離婚することをせき止めようとしているのだ。同様に彼女が描く素朴はママとパパの肖像は均一化された棒人間であり、それは彼女にとって両親に優劣はなく、二人で一つであることを象徴しているように見える。

本作は、言語化できない不安を映像言語に翻訳するのに長けた作品だ。鏡を使って、両親の像をぼやけさせたり、動物に感情移入することで自分のか弱さや現実逃避したい気持ち、自分が危機に対してできることの指針を設けたりする。その手数の多さに魅了される。

そして何と言っても難しい心理状況を演じきったクロエ・ファーガソンの天才的演技と可愛さが本作を魅力的なものにさせている。彼女は同じくロルフ・デ・ヒーア監督が撮ったSF映画『Alien Visitor』を最後に映画界から姿を消してしまっている子役終わりの俳優なのですが、それでも夫婦関係を鋭く分析する役を饒舌に演じきった彼女のアクションを観ると、他の子ども映画俳優と一線を画するものがあります。

日本では未公開ですが、『ポネット』が再公開するのであれば配給会社さん、検討してみてはどうだろうか?

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