『Ága』アガに生きる、極北のナヌークに想いを馳せて

Ága(2018)

監督:ミルコ・ラザロフ
出演:Mikhail Aprosimov、Feodosia Ivanova、Sergei Egorov etc

評価:60点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

新型コロナウイルスで新作公開が皆無で、あったとしても平日昼間しか上映していないこともあり暇人だ。そんな時こそ、異次元から傑作を掘り当てるチャンス。米国iTunesのワールドシネマのラインナップを一本ずつ吟味していったところ、面白そうな雪国映画を見つけた。東京国際映画祭で上映された『グローリー』に出演しているミルコ・ラザロフが製作した『Ága』は『A GHOST STORY』や『約束の地』路線の四隅が丸い画面構図で、雪国の生活を描いた作品とのこと。早速観てみることにしました。

『Ága』あらすじ


In a yurt on the snow-covered fields of the North, Nanook and Sedna live following the traditions of their ancestors. Alone in the wilderness, they look like the last people on Earth. Nanook and Sedna’s traditional way of life starts changing – slowly, but inevitably. Hunting becomes more and more difficult, the animals around them die from inexplicable deaths and the ice has been melting earlier every year. Chena, who visits them regularly, is their only connection to the outside world – and to their daughter Ága, who has left the icy tundra a long time ago due to family feud. When Sedna’s health deteriorates, Nanook decides to fulfill her wish. He embarks on a long journey in order to find Ága.
訳:北の雪に覆われた畑のパオでは、NanookとSednaは彼らの祖先の伝統に従って生きています。荒野で一人で、彼らは地球上で最後の人々のように見えます。 NanookとSednaの伝統的な生活様式は、ゆっくりと、しかし必然的に変化し始めます。狩猟はますます困難になり、周囲の動物は不可解な死で亡くなり、氷は毎年早く溶けています。定期的に訪問するChenaは、外の世界への唯一のつながりです-家族の確執のために昔から氷のツンドラを離れた娘Ágaへの唯一のつながりです。セドナの健康状態が悪化すると、Nanookは彼女の願いを叶えることを決定します。彼はÁgaを見つけるために長い旅に出る。
IMDbより引用

アガに生きる、極北のナヌークに想いを馳せて

極北で、伝統的な口楽器を鳴らす女性。男は氷を掘り、魚を取る。夫婦は、質素に僅かな糧と火で生を全うしていた。しかし、彼らの生活は徐々に脅かされていく。今まで取れていた魚や動物がいなくなってしまう。そして、氷が氷解してしまう。彼らは見る。空飛ぶ金属の鳥が轟音をかき鳴らしながら羽ばたいていることに。やがて妻Sednaは死の淵に立たされる。孤独を恐れ、Nanookは失踪した娘のÁgaを追って極北の彼方を目指す。

1922年の『極北のナヌーク』では文明を一切介在させないことで、文明から隔絶された文化を投影した。本作の場合、ペマ・ツェテンの『タルロ』的、巨大化する文明に文化が出会う様を描いている。ナヌークがやがてたどり着くのは、機械が穴を掘る地。『メイドインアビス』で深層を目指すようにここにいる者も穴を掘って開拓している。文明と出会ったナヌークは、文明が地球温暖化等の環境破壊を引き起こし彼の文化が破壊されているとは知らない。しかし、彼の眼前に映る無機質な暴力は、悪魔を思わせる。シンプルながらも、文明がもたらす無意識なる文化破壊を物語った作品でありました。
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