4:44 地球最期の日(2011)
4:44 Last Day on Earth
監督:アベル・フェラーラ
出演:ウィレム・デフォー、シャニン・リー、ナターシャ・リオンetc
評価:90点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
今、新型コロナウイルスによる自粛の流れで、映画ファンは新作を週末に楽しむことができなくなっている。映画ブロガや映画情報サイトでは、新作情報が書けなくなった関係で旧作の考察・紹介記事が増えてきています。
『4:44 地球最期の日』あらすじ
「バッド・ルーテナント 刑事とドラッグとキリスト」「ボディ・スナッチャーズ」の鬼才アベル・フェレーラ監督が、地球温暖化によって終末を迎えた世界を描き、2011年・ベネチア国際映画祭のコンペティション部門にも出品されたドラマ。ニューヨークの高級アパートの部屋に暮らす男と女がいた。明日の4時44分には地球の終わりが訪れ、誰もその運命から逃れられることはできない。男は最後に娘や前妻と連絡を取るが、女はそんな男の姿に嫉妬する。地球の終末になす術もない人々は、いつも通りの日常を過ごすが……。
※映画.comより引用
ウィレム・デフォーの終末の過ごし方
マヤ暦によると2012年に終末を迎えるらしい…結局、大ハズレに終わったノストラダムスの大予言に懲りてないのか、映画界では『2012』や『ノウイング』といったスピリチュアルな世紀末映画が何本か作られました。その脇で、抵抗するかのようにアベル・フェラーラはこのスピリチュアル世紀末映画を放った。テレビでは、4:44に世界が終わると語り、延々と祈る人を映すか、粛々と最後のニュースを噛み締めながら読み上げている。その中でウィレム・デフォー演じる男は、ジャクソン・ポロックを意識したアクションペインティングで、内なる世界をキャンバスにぶつけている。そして女と交わる。地球最期のひと時だというのに、「やっべ、寝坊した」とお間抜けをかます程、緊迫感がありません。彼は、部屋の中で暇を潰すのですが、これが今の世界の文化人そのものとなっている。Skypeを使って、遠くのアーティストとワイワイしたり、音楽を聞いて踊ってみたり、あまりに退屈すぎるので、そろりそろりと友人宅に行ってお話をしたり、文章や絵を描いてみたりする。テレビで言っていることがあまりに壮大すぎて、「ひょっとして大掛かりなウソなんじゃないか?」と思うも、突如眼前に見える悲惨な死や、街中に漂う悲壮感が、その疑惑を裏切り、精神に少しずつ傷をつけていく。
同様に『4:44 地球最期の日』も無宗教な文明と、その中で信仰を掴む者との関係を見つめている。地球滅亡が間近に迫り、生きようとすることがどうでもよくなってしまった男が、本能あるがままにダラダラ人生を謳歌するのだが、飛び降り自殺やテレビから垂れ流される祈りの映像が走馬灯の様に男の脳を掻き乱す。また家に来たヴェトナム人がSkypeで遠くにいる家族へ別れを告げている様子をみて、少し足掻いてみようとする。愛する女を抱擁し、ドラゴンの絵の上で愛を確かめ合い、祈る。その儚い魂の触れ合いに信仰の力強さを感じた。
確かに、2012年に本作を観ても、ウィレム・デフォーがグータラ干物生活をしている様を延々と映し出されるので退屈かもしれない。しかし、週末は自宅にいるよう言われ、国によっては外出禁止令が出てしまっている今観ると、本作での生々しい生き様に共感し、そしてLivin’ on a Prayerであると静かに力強く祈るウィレム・デフォーに心揺さぶられた。
というわけで、この週末にウィレム・デフォーから楽しい終末の過ごし方を教わりに『4:44 地球最期の日』を観てみてはいかがでしょうか?
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