アメイジング・グレイス アレサ・フランクリン(2018)
AMAGING GRACE
監督:アラン・エリオット、シドニー・ポラック
評価:70点
今年は技術の結晶であるドキュメンタリーが2本あり、アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞の枠を巡ってしのぎを削っている。『アポロ11』は人類が月面着陸してから50周年を記念して、アーカイブ映像をデジタルリマスターした代物。『宇宙へのフロンティア』とは反対に温かみのある映像が特徴となっている。そしてもう一つが、今回紹介する『AMAGING GRACE』である。本作は、ドキュメンタリー映画史にとって最大の事故によってお蔵入りした作品を修復した代物である。1972年にバプテスト教会で2日に渡り開催されたアレサ・フランクリンコンサートを収める予定が、シドニー・ポラック痛恨のミスによりカチンコを使い忘れてしまったため、音と映像を組み合わせることが不可能になり製作中止となってしまいました。それをアラン・エリオットが引き継ぎ、現代の技術で蘇らせました。ジョン・ウォーターズの2019年ベストテンにおいて5位に輝いている作品でもあります。
『アメイジング・グレイス アレサ・フランクリン』あらすじ
A documentary presenting Aretha Franklin with choir at the New Bethel Baptist Church in Watts, Los Angeles in January 1972.
訳:1972年1月、ロサンゼルスのワッツにあるニューベテルバプテスト教会で聖歌隊とアレサフランクリンを紹介するドキュメンタリー。
アレサ・フランクリンへの最高の追悼
ゴスペルの女王にして昨年膵臓癌で亡くなったアレサ・フランクリン。ブンブン、小学生の頃、『ブルース・ブラザーズ』で肝っ玉オカン役として《Think》を歌い狂うアレサ・フランクリンに魅了され、ヘヴィーローテーションしていました。そんな彼女秘蔵の勇姿を魅せてくれるだけでも興奮なのだが、上記のトラブルを知っているだけに、なおさら編集の大変さからくる興奮がありました。本作は、一見すると通常のライブドキュメンタリーに見えるかもしれないが、よくよく耳を済ますとギョッとする部分がある。急に音がなくなり、放送事故を彷彿とするシーンが多いのだ。それだけちゃんと音が取れていなかったのであろう。それを巧みな編集によって、歌声による興奮を高める役割を担っている。また、2画面で表示させることで、フッテージサンプリングとしての面白さを前面に出すこととしている為、録音やカメラワークのミスによる粗が緩和されているのだ。
そして、ゴスペルが持つ音楽の強みを絞り出していく。教会でただ粛々とおっさんの演説を聞いていても人々の心は浄化されない。
歌だ!叫べ、踊れ!一緒に参加せよ!
と天国を見るような眼差しで会場のボルテージを上げていくアレサフランクリンの力強さに圧倒されました。教会で踊り狂う文化は『ブルース・ブラザーズ』や『天使にラブソングを…』で観たことがある光景ですが、実際の教会でもあんな風に祭だったということにも驚きな一本。さて、アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞の技術枠ではどちらがノミネートするのか楽しみである。
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