ヘイル・サタン?(2019)
Hail Satan?
監督:ペニー・レイン
評価:70点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
先日、『ピンク・フラミンゴ』で知られるカルト監督ジョン・ウォーターズが2019年の映画ベストテンを発表しました。その中で、
「このクリスマスにTots for Tots(慈善団体)にお金を送らないでください。この異端者にそれを与えてください。」
ブンブンは、シネフィル仲間の間でドキュメンタリー専門家としての立ち位置を確立しつつあるので、問答無用そんな『Hail Satan?』を観てみました。
『Hail Satan?』あらすじ
A look at the quick rise and influence of the controversial religious group known as The Satanic Temple.
訳:悪魔の寺院(The Satanic Temple)として知られる、物議を醸す宗教グループの急速な台頭と影響力の観察。
※IMDbより引用
悪魔は暴く、マジョリティ宗教の欺瞞を
この世には建前上の信仰の自由はあるが、新興宗教はどうしても嘲笑の風に晒されてしまう。その所以は、胡散臭く面倒な宗教勧誘だったり、オウム真理教のように過激化し世を混沌に至らしめたことがあるだろう。そして強烈な悪魔的コスプレで演説、行進、儀式を行うThe Satanic Templeはそういった胡散臭さを孕んでいるのでアメリカでは時折ニュースでネタにされるようだ。しかし、そういった嘲笑の中には、マジョリティーの宗教、例えばキリスト教至上主義があるのではないだろうか?信仰の自由を謳っておきながら、宗教に階級がある。その矛盾、そして実は政教分離がなされていない政治に物申すのがこのThe Satanic Templeのミッションなのである。そこに加入した男へカメラは向けられる。彼は元々無宗教であった。新興宗教もバカにしていた。しかしながら、明確な派閥も倫理規程もなく活動するこの団体の不思議な魅力にう惹かれてのめり込んでいったとのこと。
そしてペニー・レイン監督はセシル・B・デミルの『十戒』や悪魔が登場する映像を引用することで、結局宗教とは一つの方向に向かって行動する団体に過ぎず、儀式的行いはそれを実現するための手段に過ぎないという理論を肉付けしています。なるほど、ジョン・ウォーターズが、慈善団体よりもこの団体に寄付しろというのもよく分かる。
そして思い返してみれば、高橋ヨシキやデーモン閣下など悪魔的ヴィジュアルな人程真剣に文化を見つめ直し、ブレずに情報発信していたりするので、何事も一目で判断するのではなく静観し分析することが重要であると痛感させられました。これは劇場公開は厳しいと思うのですがAmazon Prime Video等のサービスで配信されることを祈ります。
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