ルース・エドガー(2019)
LUCE
監督:ジュリアス・オナー
出演:ナオミ・ワッツ、オクタヴィア・スペンサー、ティム・ロス、ケルビン・ハリソン・ジュニアetc
評価:75点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
日本公開2020年5月の作品『ルース・エドガー』を観たので感想を書いていきます。。
『ルース・エドガー』あらすじ
A married couple is forced to reckon with their idealized image of their son, adopted from war-torn Eritrea, after an alarming discovery by a devoted high school teacher threatens his status as an all-star student.
訳:献身的な高校教師による驚くべき発見がオールスターの学生としての地位を脅かした後、夫婦は戦争で荒廃したエリトリアから養子として迎え入れた息子の理想的なイメージを考慮せざるを得ません。
優等生の裏の顔はバラク・オバマの影を…
主人公のルースはエリトリア難民。リベラルな白人夫婦が養子として迎え入れて、学校でも勉学、部活に真面目に打ち込む優等生だ。友人同士の喧嘩も止めに入り、何一つ穢れのない生徒ルースは、《成功するであろう難民》という夢を宿し良き国アメリカを象徴する存在となっていた。しかし、オクタヴィア・スペンサー演じる鬼教師ウィルソンは、彼のロッカーから学校に持ってきてはいけない花火を見つけてしまったことから疑惑を抱き始める。彼は作文でアルジェリア戦争でアルジェリア民族解放戦線の一員として闘った革命家フランツ・ファノンについて熱く語っていることもあり、彼がテロリストになるのではと思い始め、彼の親に相談する。
エリトリアと言えば、赤道ギニアと並ぶ情報統制の厳しい国で《アフリカの北朝鮮》と言われる国だ。1993年に独立後、イサイアス・アフェウェルキによる一党独裁が続いており、シリア、アフガニスタン、ソマリア、イラクと並び難民を多数出している国の一つだ。難民を救う、優秀な難民に希望を与えるということに先進国はただ満足していて良いのか?という疑問から始まり、本作はやがてバラク・オバマに対する鋭い批判を行っていく。
バラク・オバマは歴史に残るアメリカ大統領。黒人初のアメリカ大統領であり、「YES WE CAN」という名言も残している。また、日本の某総理大臣と比べて、今流行りの映画や音楽、書籍を読み、その幅広い守備範囲はオタクからみても好感度しか抱けないのだが、実は大統領時代、無人機で中東を爆撃し、ドナルド・トランプよりも間接的に殺人をおかしていたりするハードコアな政治をしていた。優等生で、理論もしっかりしているからこそ、まっすぐな暴力を論理的に実行する。だからこそ、我々は表面的側面を鵜呑みにしてはいけないと映画は力説しているのです。
そして、もう一つ興味深いのは、ルースを巡る周りの人の行動である。ルースを迎え入れた家族は、難民を受け入れ、優等生に育てたという自負があるので、なかなか先生から聞かされた花火の話を信じようとはしません。一応、彼には婉曲に訊くのだが、頭が良すぎてうまく真相に辿り着けない。一方、先生の方は、彼が優等生で鋭い論を展開するだけに正しい道へと示そうとするのだが、彼女の横で起こる別の問題ですらきちんと処理ができず、頭を抱えるのだ。
能ある鷹は爪を隠すというが、本作は爪の裏にもある刃の存在を指摘した骨太な作品でした。
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