猿(2019)
MONOS
監督:アレハンドロ・ランデス
出演:ソフィア・ブエナベントゥラ、フリアン・ヒラルド、ジュリアンヌ・ニコルソンetc
評価:75点
おはようございます、チェ・ブンブンです。ラテンビート映画祭でアカデミー賞国際映画賞コロンビア代表に選ばれた作品『猿』を観てきました。本作は、『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』、『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』の幻想的な音楽で知られるミカチューが作曲を手がけている作品。大自然の幻想に、彼の音楽が絡みとんでもないことになっていました。
『猿』あらすじ
南米の山岳地帯で暮らす「猿」と呼ばれる8人の少年少女たち。彼らの生活は、一見、夏のキャンプのようにも見えるが、ゲリラ組織の軍曹の監視下にある。彼らの役割は人質になっている米国人女性を監視し世話をすることだった。ボリビアのコカ農家の実態に迫ったドキュメンタリー『コカレロ』(LBFF2008出品)でデビューしたアレハンドロ・ランデス監督の最新作。サンダンス映画祭審査員特別賞をはじめ数々の国際映画祭で受賞している。2020年の米国アカデミー賞国際長編映画賞部門コロンビア代表作。
※ラテンビート映画祭公式サイトより引用
アンダー・ザ・スキンの作曲家が繰り出すどうかした音色
目隠しをしたまま、自然の音を頼りに球をゴールに入れる。球に足が触れるとカランコロンと美しい音色が鳴る。そんなブラインドサッカーを高山の広大なフィールドを前にして展開していく。この圧倒的ヴィジュアルに惹き込まれる。そこから始まるのは『蝿の王』たる物語。犬、スマーフ、ブンブンとあだ名で呼び合う若きゲリラ軍は、厳しい掟の下で訓練をしていた。しかし、ある日、管理対象の牛をパーティーの末銃殺してしまったことから歯車が狂い始める。敵に見つかり銃撃戦が勃発し、彼らは森の深淵へと入り込む。そこでドロドロぐちゃぐちゃになりながらサバイバルすることになる。『地獄の黙示録』スタイルに化けていく本作は、ミカチューのチェーンソーのエンジンがかかる音を重ね合わせたような異常なサウンドの中どんどん狂気が増していく。
この手の自然と本能の狂気を描いた作品に『アギーレ/神の怒り』や『彷徨える河』などがあるが、それを遥かに超える美しくも残酷で異常な世界観が眼前に広がっていて観ていて楽しかった。
しかし、そんな物語は竜頭蛇尾、終盤になるにつれてアート映画にありがちな荒削りを演出だと言い放つ逃げ腰な演出が目立ち、着地点も肩透かしを食らうものでありました。結局のところ、神秘的な音楽と風景に頼り切った作品に留まってしまった印象でした。
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