『LORO 欲望のイタリア』市民の運命はPARTYに握られた!

LORO 欲望のイタリア(2018)
原題:Loro
英題:Them

監督:パオロ・ソレンティーノ
出演:トニ・セルヴィッロ、エレナ・ソフィア・リッチ、リッカルド・スカマルチョetc

評価:50点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

昨年、ベルリン、カンヌ、ヴェネツィアどの国際映画祭にも出品されず、映画ファンの間で制作難航の不安がよぎったパオロ・ソレンティーノの『LORO』は第31回東京国際映画祭で上映後、無事に来週2019年11月15日Bunkamuraル・シネマ他にて公開されます。本作は、元々100分、104分の二部構成である作品を2時間半に圧縮合体させたバージョン。前半では、シルヴィオ・ベルルスコーニに接近しようとする男セルジオ・モーラの暗躍が描かれる。後編では左翼政府を倒すために暗躍するベルルスコーニの奮闘が描かれている。そう聞くと、骨太政治ドラマに見えるのですが、実際は全く違いました。

『LORO 欲望のイタリア』あらすじ


「グレート・ビューティー 追憶のローマ」「グランドフィナーレ」などでおなじみのイタリアの名匠パオロ・ソレンティーノ監督が、スキャンダル政治家として知られるイタリアの元首相シルビオ・ベルルスコーニをモデルに描いたドラマ。2006年、因縁の政敵であるロマーノ・プローディに敗北し失脚したベルルスコーニは、首相の座に返り咲くタイミングを虎視眈々と狙っていた。セクシーな美女たちを招き、贅を極めた酒池肉林のパーティで気力を高め、得意のセールストークを武器に足場を固めていく中、大スキャンダルがぼっ発。ベルルスコーニは政治家人生最大の危機に直面するが……。「修道士は沈黙する」「グレート・ビューティー 追憶のローマ」のイタリアの名優トニ・セルビッロがベルルスコーニ役を演じる。2018年・第31回東京国際映画祭「ワールド・フォーカス」部門では「彼ら」のタイトルで上映された。
映画.comより引用

市民の運命はPARTYに握られた!

パオロ・ソレンティーノといえば、豪華絢爛でデカダンスなパーティーを映画の中で過剰に描く傾向があることから《現代のフェリーニ》とよく称される。そんな彼が、本作で遂に吹っ切れました。一応、政界の泥沼を描いた作品ではあるが、大半がデカダンスな祭を繰り広げているだけなのだ。ベルルスコーニの肖像が描かれたお尻に大きなイチモツを突き刺す、シーンがスタートの合図で、そこからはドラッグを嗜み、女は肌の露出を際立たせるセクシーなファッションで絶景の中踊り狂う。エレクトロで、トランスを誘いこむ音楽の中、ベルルスコーニの悦楽の渦に身を投じ、市民の生活なんかどうでもいいと言わんばかりに自分ファーストでチェスの駒を動かし、左翼政権打倒を目指す。映画は、ほとんど市井に目を向けることはない。

これは『女王陛下のお気に入り』同様、いかに権力者が気まぐれで政治を動かし、市民がその気まぐれの犠牲になっているのかを象徴させたカリカチュアである。そして、トニ・セルヴィッロ演じるベルルスコーニのクズながらもどこか魅力的なカリスマ性は、如何に政治がカリスマ的仕草でしっちゃかめっちゃか動かされているのかを匂わせている。ただ、2時間半もこのデカダンスというダンスを魅せられると段々と飽きてくるのが正直なところ。パオロ・ソレンティーノが、物語れないことを演出で誤魔化しているようにしか見えなかった。

とはいえ、美しい映像に2時間半浸りたいのであればオススメしたい。とにかく視覚的に楽しい場面の連続ですよ。

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