一人っ子の国(2019)
ONE CHILD NATION
監督:ワン・ナンフー、リン・ザン
評価:80点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
サンダンス映画祭で審査員賞を受賞し、『ブラジル 消えゆく民主主義』、『ミッドナイト・トラベラー』と並びアカデミー賞レースの中心にいるドキュメンタリー『ONE CHILD NATION』が『一人っ子の国』という邦題でAmazon Prime Videoにて配信された。本作は町山智浩が以前ラジオで紹介し、前々から密かに話題となっていた作品。今年はドキュメンタリー当たり年のようですが果たして…
『一人っ子の国』概要
2019年サンダンス映画祭にてグランプリを受賞した「一人っ子の国」は、中国生まれの監督、ナンフー・ワン(「Hooligan Sparrow」)とジアリン・チャンが人々の体験を通して、一人っ子政策の深刻な影響を暴き出すドキュメンタリー作品だ。
※Amazon Prime Videoより引用
貴方は知っているだろうか?中国の一人っ子政策の裏に隠された悲劇を
本作は1982年から2015年まで中国であった一人っ子政策と市民生活との間にあった恐るべき事実を暴いて行くもの。
監督のナンフーは女性にも拘らず《男栿》と、「大黒柱としての男」を匂わせる漢字名があてがわれた。
彼女は、幼少期を生きた一人っ子政策とはなんだったのか故郷を訪ねる。一人っ子家族には称号の星が贈られた話や、計画生育宣伝委員のリユウ・シアンウェンは舞踏をプロパガンダとして「一人っ子政策」宣伝に使っていたなどといった話を聞いていくうちに段々と深淵に辿り着く。
男尊女卑社会×一人っ子政策の中国において、女の子は邪魔な存在だ。村人は、女の子が生まれたと分かると少し育てて、道端に棄てるのです。それを人身売買業者が見張る。広東省に電車で出向き赤ちゃんを拾い湖南省で売る。それも累計1万人近く行っていた男がいたのです。また、国の役人は強制的に去勢手術を施したりする。
本作は所謂中国アンダーグラウンドドキュメンタリーで、先駆者には王兵(ワン・ビン)がいるが、彼と違うところは、男栿がカメラの前に積極的に出ていくことだ。親戚から、一人っ子政策について聞き回り関係性を破壊することについて強く注意されても、「大丈夫だから」と言う。そして鏡越しにカメラの存在が露骨に見える。彼女はカメラの前に立ち、自分がここまで生きてこれたこと、一人っ子政策がなくなり悲劇が沈静化したことがいかに希望かを語る。王兵が客観的だとすれば、男栿は主観的だと言える。そして、男栿は彼に劣らず、中国の深部にまで見事到達し告発してみせました。
如何に一人っ子政策が愚策であったか、知っているようで知らない世界を魅せてくれる恐ろしいドキュメンタリーでありました。
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