ブックスマート卒業前夜のパーティーデビュー(2019)
Booksmart

監督:オリヴィア・ワイルド
出演:ビーニー・フェルドスタイン、スカイラー・ギソンド、ケイトリン・デヴァーetc

0.1 評価:65点

1 『ブックスマート卒業前夜のパーティーデビュー』あらすじ
2 頑張りすぎた貴方へ捧げるパーティ

評価:65点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

ありのままの青春を捉えたインディペンデント映画ジャンル《マンブルコア》がゼロ年代を席巻させ、今や辞書に掲載されるまでの勢力となった。そして2010年代は、注目映画の表舞台に《マンブルコア》の特徴を持った作品が躍進するようになった。『レディ・バード』、『エイス・グレード世界でいちばんクールな私へ』に次いで、今アメリカで話題となっている作品がある。それが『Booksmart』だ。『The O.C.』や『Dr.HOUSE』の俳優オリヴィア・ワイルド初長編映画監督作であり、主演はジョナ・ヒルの妹であるビーニー・フェルドスタインである。『エイス・グレード世界でいちばんクールな私へ』の対岸にある作品に思える本作を観てみました。

※日本公開8/21(金)に決まりました。

『ブックスマート卒業前夜のパーティーデビュー』あらすじ

On the eve of their high school graduation, two academic superstars and best friends realize they should have worked less and played more. Determined not to fall short of their peers, the girls try to cram four years of fun into one night.
訳:高校卒業の前夜、2人の学問的スーパースターと親友は、勉強を減らし遊びまくるべきだと気づきました。仲間に負けないことに決めた少女たちは、4年間の楽しみを1晩に詰め込もうとします。
※IMDbより引用

頑張りすぎた貴方へ捧げるパーティ

端的に言えば、勉強しかしてこなかったコンビが卒業間際、こことぞばかりに遊びまくるという内容。なぜこの二人が勉強しかしてこなかったのかと言えば、ビーニー・フェルドスタイン演じるモリーは容姿に自身がなかったから。エイミーはレずビアンだったからだ。そんな彼女が勉強だけできてもダメだ!自分たちが見下す軽くてチャラチャラした連中以上に遊び倒さねば!と片っ端からパーティに殴り込みしていくのです。似たような作品である『エイス・グレード世界でいちばんクールな私へ』では卒業間際に輝きたい少女が自身のコンプレックスによってどんどん傷ついていく様が描かれるが、こちらや誰がどう思おうが楽しんだ者勝ち!というパワープレイで推し進めます。

それがある意味、社会に蔓延するイケメン美女至上主義というものを破壊していくのです。結局のところ勉強なんかで自分たちを見下す連中に勝っても、別世界に逃避しただけで、その世界を破壊するためには、その世界にて戦わなくてはいけない。

クラスでのけものだった二人の元には当然ながら学校一のパーティモンスターであるニックから招待状は届かない。連絡網が断絶されているからだ。彼女たちは、クラスメイト主催のパーティ片っ端からズケズケと入っていく。中には、友達が少なく一人でDJしている場所もあれど、彼女はどんどん勇気付けられてくる。自分が楽しければサイコーなんだと。場違いにも程があるブルジョワデカダンスなパーティなんかに入っても、彼女たちは自由を謳歌し、ニックのパーティへと一歩、また一歩近づいていくのだ。陰日向に追いやられ、失われてしまった4年間を一晩に凝縮してみせた本作は、陰日向を過ごしてきた人、あるいは現在進行形で陰日向にいる者に大きな勇気を与えるだろう。

ここまで真っ向にキラキラした連中に戦いを挑む本作は美しい。