【ネタバレなし】『LETO』Кино в кино(銀幕のキノー)

レト(2018)
LETO

監督:キリル・セレブレンニコフ
出演:イリーナ・ストラシェンバウム,Teo YooRoman,Bilyk etc

評価:95点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

第71回カンヌ国際映画祭を席巻させたキリル・セレブレンニコフ(あるいはキリル・セレブレニコフ)監督作品『LETO』を鑑賞しました。どうやら日本配給がついているようなのですが、まだ全然情報が出ていないので、ブンブンの方で語っていきます。

【ネタバレ考察】『LETO』銀幕のキノーにあの夏を感じる 僕らは通りすがりのパッセンジャーなのに。

『LETO』あらすじ


Leningrad. Un été du début des années 80. En amont de la Perestroïka, les disques de Lou Reed et de David Bowie s’échangent en contrebande, et une scène rock émerge. Mike et sa femme la belle Natacha rencontrent le jeune Viktor Tsoï. Entourés d’une nouvelle génération de musiciens, ils vont changer le cours du rock’n’roll en Union Soviétique.
訳:レニングラード。 80年代初頭の夏、ペレストロイカの上流、ルーリード、デヴィッドボウイのディスクが密輸され、ロックシーンが登場します。マイクと彼の美しい妻ナタチャは、若いビクトル・ツォイに会います。新世代のミュージシャンに囲まれ、彼らはソビエト連邦のロックンロールのコースを変えます。
AlloCinéより引用

Кино в кино(銀幕のキノー)

カンヌを席巻させたロシアの音楽青春映画。Киноのメンバーになった青年が、憧れの存在に対する悶々とした感情や恋をしながら成長するというあらすじだけ書けばなんてことない話なのだが、これが凄かった!本作はミュージカルとなっており、トーキング・ヘッズの『サイコキラー』等に感情の爆発を織り交ぜていくのだが、画面に落書きが散乱する斬新なMVに化けていくのです。白黒映画なのに赤い玉が現れて、投げ合いっこしたり、画面の縁をはみ出す落書きが暴走しながら自由自在に物語が進むのです。時には、カラーの画面になったり、スクリーンの中に飛び込んだり、落書きでビートルズやザ・フーのジャケットのモノマネをしたりする作風を観ると本来のロックとは何かをハッと思い出させてくれる。

音楽に政治を持ち出すなという言葉を時たま耳にするが、ロックは単にカッコ良ければいいのではない。ルーツは、社会や世代に対する抵抗だ。だから常識を壊す、歌にメッセージを隠すのだ。皮肉にも本作で監督は政府に監視されカンヌに行けなかった。しかし、画面を暴れ狂う落書きで描く甘酸っぱい青春に力強い抵抗を感じた。

日本公開はおそらく来年だと思いますが、ビデオスルーだけにはなってほしくありません。銀幕で、あのぶっ飛んだMVを観てみたいものです。

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