【ネタバレ解説】『CLIMAX クライマックス』テレビの周りにあるもの一覧&字幕の言葉リスト
ギャスパー・ノエ新作『CLIMAX クライマックス』には一度観ただけでは解らない要素がいくつかあります。本記事では、テレビの横に無造作に置かれている膨大な本とDVDをリストアップ、また終盤に登場する字幕の訳をまとめていきます。当然ながらネタバレ記事なので、未見の方は絶対に映画を観てから読んでください。※【釜山国際映画祭・ネタバレなし】『CLIMAX クライマックス』ギャスパー・ノエはグレイテスト・ショーマンだった!!
※【釜山国際映画祭・ネタバレ】『CLIMAX クライマックス』ギャスパー・ノエがサングリアに隠した謎を読み解く
テレビ横の本・DVDリスト
冒頭、登場人物のダンスに関する意気込みが語られているのだがその横に、膨大な本やDVDやVHSが積まれている。よく見ると、映画に関するものが所狭しと積まれており、これによって本作はギャスパー・ノエによるサンプリングの映画、つまりはデイミアン・チャゼル監督が『ラ・ラ・ランド』でミュージカル映画史を語ったような類の作品であることが伺える。しかしながら、初見では余程動体視力と記憶力が良い人でなければ、何が積まれているのか把握することは難しい。そこで、ここに積まれている本・DVDの全リストを掲載します。画面の左上から順に書いていきます。尚、ブルーレイで再見し解読できなかったものに関しては???と表記しています。本
・善悪の彼岸(フリードリヒ・ニーチェ)
・???
・???
・生誕の災厄(エミール・シオラン)
・???
・変身(フランツ・カフカ)
・ルイス・ブニュエルの本
・???
・Novelas y cuentos I(Osvaldo Lamborghini)
→アルゼンチンの作家/詩人であるOsvaldo Lamborghiniの未発表の作品をまとめたもの
・CINEMAS HOMOSEXUELS
・Le meilleur de moi-même(Vuillemin)
・Frisson de Bonneur(Vuillemin)
→バンドデシネ。Vuilleminは社会風刺を得意とし、『Hitler = SS』ではヨーロッパ各地で発禁処分となり表現の自由に関する論争を巻き起こした。2015年以降はシャルリー・エブドで働いている。
・ベーゼ・モア(ヴィルジニー・デパント)
・眼球譚(ジョルジュ・バタイユ)
・Mon voyage en enfer(パトリシア・ハースト)
→『市民ケーン』のモデルとなった新聞王ウィリアム・ランドルフ・ハーストの孫娘の自伝。彼女は1974年に左翼グループSLAに誘拐されたのだが、そのまま組織に加わって犯罪行為を働き、1975年に逮捕された。
・妹と私(フリードリヒ・ニーチェ)
・ニーチェ(シュテファン・ツヴァイク)
→マリー・アントワネットやジョゼフ・フーシェ等の伝記小説を得意とするシュテファン・ツヴァイクの作品
・無意識(ジークムント・フロイト?)
・日常生活に於ける精神病理(ジークムント・フロイト)
・秘密結社(???)
・Œuvres(ミハイル・バクーニン)
・フリッツ・ラングの本
・ムルナウ(ロッテ・アイスナー)
→『カイエ・デュ・シネマ』を中心に活動した映画評論家のムルナウ論
・『タクシードライバー』の本
・???
・Mars(Fritz Zorn)
→スイス出身の作家Fritz Angstが癌宣告された後に書いた私小説。Fritz Zornはペンネーム。
・自殺―もっとも安楽に死ねる方法(クロード・ギヨン)
→フランスで発禁となり物議を醸した自殺マニュアル。恐らくアンサイクロペディアの《読書感想文に書くと親呼び出しにされる図書一覧》にも掲載されている『完全自殺マニュアル』(鶴見済)は本作から影響を受けている。
・獄中記(オスカー・ワイルド)
・L’aventure hippie(Jean-Pierre Bouyxou)
・Molinier, une vie d’enfer(Pierre Petit)
→写真家であるPierre Petitの自伝
・Mon dernier soupir(ルイス・ブニュエル)
→ルイス・ブニュエルが小説のように書いた半自伝
DVD/VHSリスト
・自由の代償(ライナーヴェルナー・ファスビンダー)
・ママと娼婦(ジャン・ユスターシュ)
・ポゼッション(アンジェイ・ズラウスキーの方?)
・ソドムの市(ピエル・パオロ・パゾリーニ)
・アンダルシアの犬(ルイス・ブニュエル)
・ケレル(ライナー・ベルナー・ファスビンダー)
・Vibroboy(ヤン・クーネン)
・快楽殿の創造(ケネス・アンガー)
・切腹(小林正樹)
・サスペリア(ダリオ・アルジェント)
・ゾンビ(ジョージ・A・ロメロ)
・アングスト/不安(ジェラルド・カーグル)
・イレイザーヘッド(デヴィッド・リンチ)
終盤の字幕について
物語終盤、LSD入りのサングリアに酔い狂った人々は床に転がりながら暴れ朽ちていく。そしてカメラも天地がひっくりかえる。そして驚くべきことに字幕も反転するのだ。これは映画内の字幕だけでなく、英語の字幕も反転するもんだから驚きだ(どうやら日本公開時もギャスパー・ノエの意図に従って字幕が反転しているらしい)。だから余程反転文字に精通している人でなければ解読することはできない。あそこになんて書いてあったのかをここに記しておく。
MOURIR EST UNE EXPERIENCE EXTRAORDINAIRE
(死とはある種の超越的な経験なのさ)
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