【考察】『ザ・ファブル』撃鉄から観るファブルの行動心理

ザ・ファブル(2019)

監督:江口カン
出演:岡田准一、木村文乃、山本美月、福士蒼汰、柳楽優弥etc

評価:55点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

岡田准一アクション映画『ザ・ファブル』を観てきました。岡田准一は、日本のトム・クルーズとも言えるアクションスターで、本作では自らアクションコレオグラファーとしてアクションの魅せ方を演出しています。1階から3階まで壁をよじ登ったりとすごいシーンが多いらしいので観てみました。

『ザ・ファブル』あらすじ


2017年度講談社漫画賞を受賞した南勝久原作の人気コミックを岡田准一主演で実写映画化。超人的な戦闘能力を持つ伝説の殺し屋ファブルは、育ての親であるボスから、1年間殺し屋を休業して普通の人間として生活するよう命じられる。もし誰かを殺したらボスによって処分されてしまうという厳しい条件の中、「佐藤アキラ」という偽名と、相棒ヨウコと兄妹という設定を与えられ、大阪で暮らしはじめたファブルは、生まれて初めての日常生活に悪戦苦闘。そんな中、偶然知り合った女性ミサキがある事件に巻き込まれたことから、ファブルは再び裏社会に乗り込んでいく。相棒ヨウコを木村文乃、ボスを佐藤浩市が演じるほか、山本美月、福士蒼汰、柳楽優弥、向井理ら豪華キャストが集結。カンヌをはじめ数々の広告祭で受賞歴を持つCM界の巨匠・江口カンが監督を務め、「20世紀少年」「GANTZ」の渡辺雄介が脚本を手がける。
映画.comより引用

悪魔の脚本家・渡辺雄介を封じ込める江口カンの実力

本作は困ったことにディザスター・アーティスト渡辺雄介が脚本を手がけている。彼は『進撃の巨人』や『ガッチャマン』、『GANTZ』に『20世紀少年』と超大作の脚本を手がけ、ことごとくその脚本のポンコツさから映画ファンに叩かれている脚本家である。そして例に漏れず、本作の脚本は目も当てられないほど酷いものでした。主人公ファブルは、6秒以内に敵を倒す最強の殺し屋である一方、猫舌で寒いお笑い芸人のギャグに弱いというギャップを持っている。そのギャップ描写として随所にギャグを入れてくるのですが、毎回ダダ滑りなのだ。しかも佐藤二朗を召喚し、さぶいギャグのラーメン二郎マシマシをやってくるので反吐が出ます。

また、登場人物の中に存在意義皆無な人物がいたりする。木村文乃演じる佐藤ヨウコはただ酔っ払ってファブルの横をまとわりついているだけ。峰不二子のような色気という霧に包んだ強靭な刃というものを魅せてくれない。さらに佐藤浩市演じるボスが、ファブルに渡した鳥は、伏線として全く使われず、またマクガフィンにすらなっていない。あまりにも無駄が多すぎる。

しまいには、ファブルを巡ってこことぞばかりに闇の組織が集まって、仁義なき戦いが勃発するのだが、どうも空き地でヤンキーがメンチをきっているレベルのスケールの小ささが目立ちます。

ただ面白いことに、通常であればワースト行きまっしぐらなところ、全くもって嫌な気がしませんでした。寧ろ好きでした。というのも、ファブルが、プロらしく普通を演じるというキャラクターを逆手にとって、江口カン自身もプロらしくふつーに渡辺雄介から支持を受けたさぶいギャグを華麗に捌いているのだ。それでもってアクションを岡田准一と共に面白いものへ昇華させていくことに注力していく。この超絶技巧な演出は、CM屋だからできる手腕だと言えよう。江口カン映画初だったのですが、『映画めんたいぴりり』、『ガチ星』観たくなりました。

撃鉄から観るファブルの行動心理

意図的か偶然か定かではないが、本作における撃鉄描写に驚かされました。リボルバー銃は、撃鉄を引かないと撃てないのだが、結構映画やドラマで撃鉄を引いていないことがある。だから、怖い顔で脅されても間抜けに見えてしまう。本作の場合、ファブルをヤクザのボスが銃で狙う場面があるのだが、銃の撃鉄が上がっていないのだ。それを知っているからこそファブルは動じていないと考察することは可能だ。そして本作では、度々敵が撃鉄を引いていなかったり、撃鉄を引くのがやけに遅かったりする。これは製作陣のミスなのかなと思うのだが、終盤の銃撃シーンにおいてファブルだけは完璧に撃鉄を引いたりコッキングしたり、マガジンを取り替えたりしているので、ファブルの完璧さと退避させるためにあそこまで敵の銃さばきを間抜けに描いたのではと考えることができます。そう思うと、本作の銃描写は、ポンコツ銃描写あるあるを逆手にとった面白い演出であります。

ただ、一部、撃鉄を引いていなかったり、トリガーをしっかり引いていないのにガンエフェクトがかかっているように見える場所があったので、そこは惜しいなと感じました。

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