クイーン・オブ・アース(2015)
Queen of Earth
監督:アレックス・ロス・ペリー
出演:エリザベス・モス、キャサリン・ウォーターストンetc
評価:80点
おはようございます、チェ・ブンブンです。先日、親友から『仮面/ペルソナ』を彷彿する面白い作品があると紹介されました。その名も『Queen of Earth』だ。日本では未公開の作品なのですが、本作の監督アレックス・ロス・ペリーは昨年ハードコアシネフィルの間で話題となりました。というのも、『プーと大人になった僕』の脚本を手がけていたからです。アレックス・ロス・ペリーはラース・フォン・トリアーやミヒャエル・ハネケ系の全力で不快を観客に投げつけてくる作品で有名で、毎回Rotten Tomatoesの評は批評家評こそ高いものの、一般観客からは火炎瓶が投げられているような作家です。そして案の定、『プーと大人になった僕』は、過労でやつれた男の前に、仕事を捨てるよう説き伏せ、何度も復活してクリストファー・ロビンを苦しめる鬱映画の傑作でした。そんなアレックス・ロス・ペリーの代表作に挑戦してみました。『Queen of Earth』あらすじ
Two women who grew up together discover they have drifted apart when they retreat to a lake house together.
訳:共に生まれ育った二人の女性が湖畔の家にを去るとき、心に隔たりがあることに気づくでしょう。
※imdbより引用
漆黒の『仮面/ペルソナ』
親友が語っていた以上に、『仮面/ペルソナ』でした。精神が不安定な女キャサリン(エリザベス・モス)が喪失を癒すように親友ヴァージニア(キャサリン・ウォーターストン)の家にいき、独白をする。それを寡黙なヴァージニアが聞く。そこが思い出の別荘で、段々とトラウマが渦巻き、自問自答の洪水の中で人格が揺らめく。ただ、色彩を得たこの『仮面/ペルソナ』は、鬱映画の鬼才アレックス・ロス・ペリーの手により、ブラックホールのような闇へ観客を突き落とす。つんざくようなサウンドトラックに背筋が凍る。そして、窓越しに、まるで幽霊のように蠢くキャサリンであったりヴァージニアに恐怖を抱く。そして視点がキャサリンにあることが、自分を分かち合ってくれる人の不在に夜恐怖を増長させていく。正直、キャサリンは思い込みが酷く、それによって勝手に狂っていくのだが、それを冷酷な目で見てくる周囲の人々やパーティーでの疎外感に絶望していきます。『ヘレディタリー/継承』なんて甘口カレーも良いところ。コッ!なんて音がなくても、しっかりと怖いのです。
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