【カンヌ国際映画祭特集】『トレジャー オトナタチの贈り物。』ルーマニアの鬼才ポルンボユ日本紹介作

トレジャー オトナタチの贈り物。(2015)
原題:Comoara
英題:THE TREASURE

監督:コルネリュ・ポルンボユ
出演:トマ・クジン、アドリアン・プルカレスク、コルネリュ・コズメイ、トマ・クリスティナ、トマ・ニコディムetc

評価:50点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

第72回カンヌ国際映画祭にルーマニアからコルネリュ・ポルンボユ監督最新作『The Whistlers』が出品されました。ルーマニアといえば、『私の、息子』が金熊賞を受賞したり、『4ヶ月、3週と2日』がパルムドールを獲ったりと映画祭に強いイメージがある。特にカンヌ国際映画祭とルーマニア映画は非常に相性が良く、クリスチアン・ムンジウは『汚れなき祈り』は脚本賞、女優賞、『エリザのために』で監督賞を受賞している。クリスティ・プイウは『ラザレスク氏の最期』で《ある視点部門》を制覇している。今回紹介する、ポルンボイユ旧作『トレジャー オトナタチの贈り物。』も《ある視点》部門を制覇した作品だ。果たして…

『トレジャー オトナタチの贈り物。』あらすじ


宝探しの世界に足を踏み入れる男たちをコメディタッチで描き、第68回カンヌ映画祭で「ある視点部門ある才能賞」を受賞したルーマニア映画。ルーマニアのブカレストで、息子と妻の家族3人でつつましい生活を送るコスティのもとに近所の男アドリアンが訪ねてきた。切羽詰った顔で800ユーロ貸してほしいというアドリアンは、その金で金属探知機を借り、曽祖父が庭に埋めた宝を探したいという。失業中のアドリアンは借金がかさみ、今にも家を追い出される状態で、この宝探しに賭けていた。見つけた宝の半分を渡すと言われたコスティはうさんくさいと思いながらも、半信半疑で宝探しに協力することとなるが……。
映画.comより引用

大人の宝探しは夢がない

ポルンボイユ作品は本作以外日本で紹介された試しがないのですが、サッカードキュメンタリーなんか撮っています。カンヌのコンペに入った新作は口笛で脱獄を手伝い大金を得ようとする人の映画らしく、なんらかの賞を獲りそうな香りがします。

さてそんなポルンボユの『トレジャー』はドライ過ぎて夢がない宝探し映画だ。父の隠した宝を探すために大人が頑張るのだが、ダウジングメカを使い始めたり、宝を探す大人たちが、互いに富を独り占めしないか監視をしたり、宝は銀行に預けたよと平気で子どもに言ったりととにかく夢がなさすぎます。ルーマニア映画の三大映画祭を制するような作品ふムンジウやプイウの作品を観ても分かる通り、厭世的で暗い空気感の中でヒトの感情の渦を描くのが上手い。まあ、そこのところはルーマニア映画専門家のゼロモチベーション済藤鉄腸さん(@GregariousGoGo)の解説に任せるとして、ポルンボユはどうやらゲーム×現代ルーマニア問題×人間の欲望を絡めた作品を作るのが得意なようだ。サッカーのルールにいちゃもんをつけるコーチのドキュメンタリー『Infinite Football』しかり、新作『The Whistlers』しかり、本作しかり、どれもゲーム的要素からルーマニアを語ろうとしているのではないだろうか?

なので、本作はルーマニア映画に慣れてないとキツイところが多く、日本公開されたのが奇跡的ともいえる作品なのは間違いない。

矢田部さんが何度もTIFF上映を試みて、諦めたのも分かった気がしました。

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