恐怖の報酬 オリジナル完全版(2018※映画自体は1977年)
SORCERER
監督:ウィリアム・フリードキン
出演:ロイ・シャイダー、ブルーノ・クレメル、フランシスコ・ラバル、アミドウetc
評価:5億点
映画史上唯一、カンヌ国際映画祭とベルリン国際映画祭で最高賞を獲ったクルーゾ監督の『恐怖の報酬』。様々な映画監督がオールタイムベストに入れる名作だが、ブンブンはクルーゾ版よりもドキンちゃんことフリードキン監督のリメイクが好きだ!しかし、本作は権利がグチャグチャ配給難易度最高レベル故に、長年DVD化すらされず、やむ得ずなんとかチューブで観た次第。日本のマイケル・ベイことYoutuberすしらーめん《りく》の数十倍びっくりする爆発。ハリウッドSF大作のフィクション感はなく、正しく恐怖を覚える爆破に観た当時興奮を覚えた。そんな名作『恐怖の報酬』がリストアされてやってきた!しかも完全版だ!これは観るしかとシネマート新宿で観てきました。『恐怖の報酬 オリジナル完全版』あらすじ
メキシコの殺し屋、フランスの投資家、エルサレムでテロを敢行し逃げるアラブ・テロリスト、アイリッシュ・マフィアは南米のジャングルに辿り着く。石油採掘を行なっていたジャングルで爆発事故が発生。石油火災を鎮火するために、ニトログリセリンを運ぶことになる。しかし、少しの振動で大爆発を起こすニトログリセリン。道は劣悪。石油会社の責任者は多額の報酬を提示しスマグラーを募集した…ドキンちゃんのドキ☆ドキ☆パニック
一度観ている筈なのに、「今日は別のアクシデントが起きるかもしれない」「今日はあの人が死ぬかもしれない」「ハッピーエンドかもしれないし、バッドエンドかもしれない」というワクワク、ハラハラが止まりませんでした。フリードキンの爆破は、荒れ狂う撮影現場のおかげもあったのだろう。予測不能だ。だから、油断すると大爆発の業火が客席に降りかかり、ヒィと身震いします。それの連続をじっくり前半1時間で魅せてくるので、目玉のニトログリセリン運びの緊迫感が凄まじいこととなる。
橋をモンスタートラックが渡ろうとする。
ギィ、ビチビチ、ガタンと常に橋が悲鳴をあげる。屈強なならず者も、ヒェと逃げ出したくなる。しかし、賽は投げられた。前に進むしかない。そんな極限状態、まだ下があるのかと思う程地獄の深淵まで引きずり込む。
だからこそ、ポスターにもなっているボロボロになった橋を渡るシーンは絶望感を覚える。
正しく、
It is a road wrong…
(道を間違えた、、、)
と崩れ落ちるトラック野郎と同じ気持ちで、運命の一瞬を見守ることとなります。
こんなの、桃さんもジョナサンもできませんよ!
前半1時間こそ重要だ
本作が苦手派の中に、輸送ミッションが始まるまでが長すぎて飽きてしまうという意見をチラホラ聞く。確かに、今の映画のように5分に一度爆破したり、テンポよくストーリーが進むわけではない。しかしながら、この前半1時間の人物描写こそが本作の魅力を最大限引き出すものとなっている。メキシコ、フランス、イスラエルにアメリカ、世界各地で全く背景の違う者のドラマが展開される。シンプルに敵を殺し逃亡する者、投資に失敗し暗殺の危険性から家族をフランスに置いてこっそり逃げる者、テロに成功し逃げようとする者、金を強奪したはいいが仲間内で争った結果、全滅に近い状態になり、また強奪した際に怪我させた人物が大物マフィアと繋がっていて身の危険を感じ逃亡する者。4つの物語がじっくり描かれる。そしてスラムに近い南米に辿り着く。まるで運命のように引き疲れる4人。皆クズなんだけれども、それぞれに背負った重みを観客は知っている。だからこそ、対立しつつもゴールまでニトログリセリンを運ぼうとするドラマに熱くなるのだ。別に、輸送ミッションシーンから始めても物語としては問題ない。しかし、フリードキン監督は人間を描くために前半1時間を用意したのだ。これは英断だったと感じました。
最後に、これは劇場で観てほしい。できれば、シネマシティ等の爆音設備で観ることをオススメします。タンジェリン・ドリームの魅惑のサウンドに酔いしれ、過激なアクションに燃えてください!
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