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【美術展リポート】『マルセル・デュシャンと日本美術』パワープレイの理論に爆笑必至!

【美術展リポート】『マルセル・デュシャンと日本美術』パワープレイの理論に爆笑必至!

【美術展リポート】『マルセル・デュシャンと日本美術』


東京フィルメックスで『象は静かに座っている』を観る前に、何しようかとブンブンは悩んでいた。映画ファンが体調を壊したと口を揃えて言う『ういらぶ。』を観ようかと迷ったのだが、映画疲れが結構身体を蝕んでいたので違うことをしようと思いついた。東京国立博物館で丁度、フィラデルフィア美術館交流企画『マルセル・デュシャンと日本美術』が開催されていた。マルセル・デュシャンと言えば、美術館にサイン入り便器を置き、「これはアートだ。《泉》と言う作品だ。」と言おうとした人物だ(実際には投票の末、展示は拒否された)。彼って《泉》のイメージしかない。それだけに興味を抱き、いってみることにした。

思いの外パワープレイで大草原不可避




この展覧会は、大学のレポートに例えるとCとかDとか赤点を彷徨うレベルであろう。なんたって、展覧会の8割は、マルセル・デュシャンの作品について紹介し、最後の最後に、「ところでマルセル・デュシャンは既製品から美を見出していたけれども、日本は昔からやっていたよね」と千利休の茶器や巻物、竜頭の水墨画の複製品を並べてマウントを取ると言うものだ。確かに言われてみれば、竜頭の水墨画の複製から滲み出る違いによる美や、ただの巻物から美を見出す姿は、マルセル・デュシャンのONLY ONEが美の価値を決めるものではないという理論を肉付けする。しかしながら、あまりに日本パートの展示がおまけ程度にしかおいておらず、パワープレイ感が否めない。

しかしながら、美術展の観点から見た際に、これはある種有効な手段だと感じた。

展覧会とは、ただ作家や時代の作品を並べて紹介するものではない。どのように配置するか、どのように見せるかという《視点》が重要となっている。美術に詳しい人にも詳しくない人にも、普段気づかなかった美術の見方を美術展ないし美術館が提供し、人々に美術に対する興味を抱かせることが目的だ。そうなった時に、この展覧会は、マルセル・デュシャンと全く関係ない次元にいるような日本の美術を結びつけることで、既製品アート(デュシャンの言葉を借りれば《レディメイド》)への理解を深めることができます。

Vous n’avez encore rien vu(あなたはまだ何も見ていない)

今回の展覧会を見て、マルセル・デュシャンが《泉》以外にも様々な媒体を使って作品を作っていたことが分かった。アンディ・ウォーホルの原型はマルセル・デュシャンにあったと感じた。デュシャンは、もともと画家として活動しており、油彩画を描いていた。こってりとしたボリュームで人を描くのが特徴的で、また、《デュムシェル博士の肖像》では手に光輪を纏わせる「見えないもの」を描いた。そしてやがて、キュビズムに傾倒していき、《階段を降りる裸婦No.2》がニューヨークで開催されたアーモリー・ショーによってアメリカに注目されるようになります。

やがて、彼は「芸術」でないような作品をいかにして作るのかという考えに取りつかれるようになる。複数の作品を大ガラスに閉じ込めた《彼女の独身者によって裸にされた花嫁、さえも(大ガラス)》を完成させ、デュシャン唯一無二の型を確立させていく。自転車の車輪だけを置いた《自転車の車輪》やパリのデパートで買った瓶乾燥機を置いた《瓶乾燥機》を作品とした。そして、《泉》の展示が断られると、今度は別なる次元へと傾倒するようになる。

アーティストからチェスプレイヤーに転身し、国際チェス連盟のフランス代表になるまで優秀な成績を収める一方、ローズ・セラヴィという偽名(フランス語読みすると、エロス・セラヴィ、エロスこそ我が人生となる言葉遊びから命名)、女装姿で写真家マン・レイと共に活動するようになる。英文のTheを★に変えた文章を作品とした《THE》や瓶にローズ・セラヴィの肖像を貼り付けたものを写真に収めた《美しい吐息、ヴェール水》等を発表する。そして、回転する円から官能性を見出す映画《回転半球》を製作する。

このように、デュシャンは油彩から始まり、レディメイドや写真、映画と様々なメディアを通じて美を見出そうとしていた。我々は、デュシャンのほんの氷山の一角しか知らなかったことに気がつくのだ。そして既製品アートや映画から新時代のアートを生み出そうとしたアンディ・ウォーホルとの共通点が多いことに驚かされる。まさしく、ウォーホルの原型がデュシャンにあるといえよう。

デュシャンしゃんと利Qはんが攻めすぎている


美術館に行くと、必ずお土産ショップを覗く。すると、本展覧会にゆるキャラが存在していることに驚かされた。そして、あまりの雑さに驚愕した。Web漫画「おしえて!北斎」のいわきりなおと氏が考案したキャラクター、デュシャンしゃんと利Qはん。なんと、パンダの上に便器が乗っているだけではないか。花瓶が乗っているだけではないか!いくらパンダの《しゃんしゃん》がブームになっているからとはいえ、国際問題になるのでは?と不安になる攻めたデザインでした。そして当然ながらグッズショップにはポストカードやマスキングテープなどといったゆるキャラグッズが販売されていました。

↑ブンブンはパンフレットを購入しました。3,000円とやや高いのですが、情報量とデザインが素敵だったので購入しました。

出口に注目



なんと、出口付近にTOTOの便器がデュシャンに対抗して置かれていました。これが日本の《泉》だと言わんばかりのインパクトに思わず爆笑しましたww

開催概要


・会期:2018年10月2日(火)~12月9日(日)
・会場:東京国立博物館(上野公園) 平成館 特別展示室 第1室・第2室
・開館時間:9時半~17時(入館は閉館の30分前まで)
・休館日:月曜日
・観覧料金:一般1200円、大学生900円、高校生700円
『マルセル・デュシャンと日本美術』詳細(東京国立博物館サイト)

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