【カンヌ国際映画祭特集】『グッド・タイム』目線の使い方が素晴らしい!

グッド・タイム(2017)
GOOD TIME(2017)

監督:サフディ兄弟
出演:ロバート・パティンソン、ジェニファー・ジェイソン・リー、
ベニー・サフディetc

評価:100点

ミヒャエル・ハネケの『ハッピー・エンド』に匹敵するパワーワード サフディ兄弟の『グッド・タイム』。

海外の映画メディアが『ゲット・アウト

』並にこぞって2017年ベスト映画に入れていた。私は残念ながら劇場で見逃してしまいました。

Netflixにアップされていたので観てみた、、、昨年見逃したのが悔やまれる大傑作でした。

『グッド・タイム』あらすじ

貧しい兄弟は銀行強盗をする。しかし、知的障がい者である弟が逃げ遅れ、警察に捕まってしまう。なんとかして助けたい兄の決死の一夜が幕を開けた!

目線の緊迫感が素晴らしい

何故本作を見逃したのか?それはサフディ兄弟の前作『神様なんかくそくらえ』がダメだったからだ。とはいってもタイトルシーンだけはオールタイムベスト級に好きだ。いつの間にか、自分も黄泉の世界に転送されてしまったのではと思ってしまう、クレイジー走馬灯にノックアウトされた。ただ、本編はサイケデリックになったダルデンヌ映画以外の何物でもなく、凡庸であった。

今回の『グッド・タイム』も予告編観る限り、前作同様サイケデリックなダルデンヌ映画ってイメージを受け避けていた。

ただ、実際に観てみると良い意味で裏切られた。ウォルター・ヒル『ザ・ドライバー』譲りの手汗握る逃走劇をメルヴィル『サムライ

』の徹底した目線の美学を用い、サイケデリックにしたような作品だった。

そう、この映画は目線の描き方がSランクで素晴らしい。冒頭、知的障がいを抱えている弟とカウンセラーの会話が繰り広げられる。弟から流れる涙だけで、弟の家庭環境が如何に劣悪かということが分かる。このシーンだけで、傑作感がプンプン匂ってくる。

そして、弟の設定を観客に痛いほど伝えた上で、銀行強盗が始まる。兄弟がキョロキョロと目を動かす挙動不審っぷりに観ている方はハラハラする。そして、筆談による銀行職員との闘いを、心臓の鼓動を反映したサントラで盛り上げる。正直、このサントラの使い方は『ダンケルク

』以上。心の揺らぎの繊細さを見事に表現している。

銀行強盗シーンが終わり、ようやくタイトルシーンなのだが、もうこの時点で5億点だ。さて、ここからが本題。ムショから、病院に搬送された弟を兄が救助しにいく話が始まる。兄は指名手配されている。なのに、ポリスマンだらけの病院に潜入する。兄は心優しいが、バカの極みなので本当に怖い。まるで、兄と一緒に弟を救助しに行っているような錯覚を覚える。

この錯覚は、セリフを減らしに減らし、画面のどこかにポリスマンを映す。兄が向く先にポリスマンを配置する目線の美学により成立している。まさにメルヴィル譲りの技法と言えよう。

最後の最後まで、緊張緊張緊張、絶望的な程に悪い方へいかない展開に、「もう許してあげて!」と言いたくなった。

本当に、昨年映画館で観れば良かったと悔やみに悔やみました。

ブロトピ:映画ブログ更新

ブロトピ:映画ブログの更新をブロトピしましょう!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です