地球の急ぎ方:大滝温泉に行ってみた(GW 旅行記 後編)

前回までのあらすじ

前回、秋田県大館市にある秘境映画館・御成座を目指したブンブン。東北新幹線《こまち》で盛岡まで行き、そこから高速バスに乗り換え2時間半の道中の末ようやくたどり着いた。そして秘密基地のような映画館に感銘を受けすっかり満足したブンブンなのであった…

地球の急ぎ方:秘境にある映画館、御成座に行ってみた(GW旅行記 前編)

旅行2日目:大滝温泉へ行ってみた

ブンブンは雨男だ。筋金入りの。どうも高校3年生の時にパリの地下墓地カタコンブ(Catacombes de Paris)で粗相をし、亡霊に呪われてしまったらしい。殆どの旅で大雨か大雪となります。それが例え、モロッコのように雨とは無関係の場所を旅行先に選ぼうとも、亡霊は私を逃さない。日本に大雪を降らし邪魔をしてきます。閑話休題、今回の大館旅行も、先週の天気予報では晴れとなっていたのだが….大雨です。
『ウィズネイルと僕』か!と思う程の雨ザーザー降り。当初行こうと考えていた、大館 小坂鉄道レールバイクや石田ローズガーデン、岩瀬川渓流に到底行けそうにありません。でも、折角来たのだからどこか観光せねば!そう考え、調べていたら、大館駅から数駅のところに温泉があるらしい。これは行かねば!と思い行ってみることにした。

↑その前に腹ごしらえ

大館の風景

大館の町を歩くと、東京では見られない光景に驚かされます。まず、コンビニ等の施設の大抵が二重扉になっています。これは、厳しい冬を過ごす北国ならではの知恵。出来るだけ建物内を暖かくしようとする知恵がそこにあります。

また、人があまり住んでいない為か、道路はかなり広めです。

また、タルコフスキーの映画のような、朽ちた建物を見ることができます。

無人駅と遭遇

2両列車に乗って大滝温泉駅を目指しました。

東京の列車ではあまり見かけない押しボタン方式でした。

雨の車窓から見る景色は、印象派の絵画のように独特の美しさを持っていました。

大滝温泉駅到着です。温泉駅なので、栄えていると思ったら、これがビックリ。無人駅でした。改札もなければ、切符発券機もありません。使用済みの切符は、備え付けのボックスに入れる方式です。

今回行く温泉は湯夢湯夢の湯。駅から10分くらいのところにあります。それでは行ってみましょう。


着きました。あれっもしかしてやっていない??と思う程の静けさです。

手前の施設は温水プールで、今はオープンしていない模様。でも安心しました。奥に行くとしっかり湯夢湯夢の湯ありました。核シェルターの様な堅牢さを醸し出しています。大人260円子ども160円で湯を嗜むことができます。

湯夢湯夢の湯詳細ページ

雰囲気は、一見銭湯に見えるが、しっかり露天風呂もあります。泉質はナトリウム・カルシウム―硫酸塩・塩化物泉から構成されています。湯は露天風呂、43度風呂、45度風呂の3種類。ブンブンうっかり45度風呂に入って、体がディープインパクトを受けました。メチャクチャ熱いです。まずは43度風呂で体をならしてから45度風呂に挑戦しましょう。

注意:半径5km圏内何もなし

列車は2時間に一本ペースでしかこない。無人駅で待つにしても1時間ぐらいある。飯でも食べて待とうかと思い、Google Mapsで検索をかけました。すると…

5km圏内に何もありませんでした。かといって隣駅まで歩くにしても7km以上ある。結局、隣駅まで歩いて飯を食べても、列車を乗り過ごしてしまい、ホテルまで歩かざる得なくなってしまう。幸運なことに、晴れてはきたものの、元陸上部とはいえ、流石に腰が引けてきたので、無人駅で待つことにしました。

駅の待合室には誰もいなかったので、フリースタイルで読書をしました。読んだ本は、アンドレ・バザンの『映画とは何か(上)』。半世紀以上前の映画批評界隈では、映画vs演劇vs文学vs絵画の構図で論争が繰り広げられていたとのこと。これって今の日本における映画vsアニメvs小説vsマンガに置き換えられるよね。ただ、期待していた本ではあったのだが、内容はアンドレ・バザンが理論を捏ねくり回して無理やりロベール・ブレッソンを褒め称えている様にしか見えず残念でした。

ただ、映画vs絵画でクルーゾーの『ピカソ』を分析している部分は納得しました。絵画を紹介する訳でもなく、ピカソを紹介する訳でもなく、ピカソが作品を生み出す時間を切り取ったことで《映画らしさ》が見出された。という解説から肉付けされる美術映画のあり方は、非常に為になるものでした。

そうこうしているうちに列車がきました。単線故に、上り電車と下り電車が同時に駅に入ってきました。

切符は車内で駅員さんから購入します。240円でした。

マグマのつけ麺を食べてみた

大館に到着。ホテルの目の前に、《赤から》という東京じゃ見慣れない飯屋があったので行ってみました。どうやら面白いつけ麺を食べさせてくれるようです。濃厚豚骨伊勢海老 元味(880円)を注文してみました。


目の前に今まで見たことがないようなつけ麺がやってきました。なんと汁がマグマのように暴れまわっているではありませんか!汁を恐る恐る口に運ぶ。ムムッ!最初は、豚骨のコッテリした脂の味が舌を刺激するのだが、段々と口全体に伊勢海老のまろやかさが広がる。不思議な感触。まろやかさとコッテリさは水と油の関係がごとし対立してしまうのでは?と思ったのだが、これが見事なオーケストラとなってブンブンを楽しませてくれます。麺は堅太。麺屋の腕の見せ所は、如何に麺に汁が絡みつくかというところにあるが、見事に太麺が汁を吸い、ブンブンの口までお届けしてくれます。意外と、麺と汁が分離する麺屋が多いのでこれは嬉しい。幸せな時間を堪能することができました。

↑占いができるようです

TSUTAYAに行ってみた

近くにTSUTAYAがあったので行ってみました。TSUTAYAのサービスって店ごとに違います。地方に行くと、旧作100円になっていることが多いのだが、ここはなんと10本2週間で借りられるオプションも付いているではありませんか。しかも、ポスト返却システムは日本国内ならどこでも有効とのこと。ってことでDVD借りまくりました。借りた作品は下記です。

・『PK』
・『冬の嵐』
・『ゴダールの決別』
・『セイ・エニシング』
・『失われた週末』
・『恋する輪廻 オーム・シャンティ・オーム』
・『胸騒ぎのシチリア』
・『おとぎ話みたい』
・『海へ』
・『回転』

東京に帰還


楽しい時間もあっという間、遂に帰る日がやってきました。御成座に別れを告げて駅へと向かいました。

乗車券はバスターミナルで買えると書いてあったのだが、窓口オープン時間になっても誰も来ない事件が発生。最後の最後で焦る。ただ、どうやらバスの中でも買えるとのことだったので、安心しました。


早めに盛岡行って、映画館調査をしようと思ったのだが、帰る電車に間に合いそうな作品がなかったので、場内を撮影するだけに留めました。GWだけに非常に賑わっていました。


社会人2年目になって、資金と時間に余裕ができたので今回、東北まで旅行しました。あまり国内旅行しないだけに新鮮な体験をすることができました。またいつか御成座に行ってみたいなと思ったブンブンでした。映画ファンの皆さん、時間と資金に余裕があれば是非、秋田県大館市に遊びに来てください。

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