わたしたちの家(2017)
監督:清原惟
出演:河西和香、安野由記子、
大沢まりをetc
評価:65点
2017年PFFアワードグランプリ受賞作品。周りのシネフィルの評判聞きつけてユーロスペースへ向かった。
今回は、あらすじも予告編も見ず、まっさらな状態で観ました。
『わたしたちの家』あらすじ
物語A:父親が失踪し母と二人暮らしをしている少女。彼女はもうすぐ誕生日を迎えようとしていた…物語B:フェリーで謎の女がやってくる。記憶を失ったその女を少女は家に引き取る…
新手の『漂流教室』だ!
前半、二つの物語が進行する。
A.誕生日前の女の子の話
B.記憶喪失の女を拾ってきた女の子の話
何故かどちらも舞台は同じ家。しかも、時折AとBの物語が家の中で共鳴する。察しの良い方は、楳図かずおの『漂流教室』をやっているのではと勘づく。『漂流教室』とは、突如学校ごと世紀末の未来に学校ごと飛ばされるという内容で。未来に飛ばされた小学生と現実世界の保護者が時の流れを利用してなんとか助け合うという内容。この過去と未来の共鳴の仕方が非常に本作と似ている。
しかし、一見展開が読めてしまうような本作は思わぬところへと転がる。というよりか、次々と謎が生まれ、何一つ解決することなく終わってしまうのだ。物語Bで謎の男が記憶喪失の女を追い回し、ついには家に上り込む。記憶喪失の女と家の少女とその男の戦いに何故か物語Aの少女が共鳴する音を頼りに花瓶を男に投げつけて物語は終わってしまう。結局、男は何者なのか、物語Bの少女は家の外で何をしていたのかが明らかにされないのだ。
なので後味は悪く、映画として投げやりなのでそこまで良い映画とはいえない。
でも、妙に気になってしまう。やはり黒沢清譲りの不気味な音と影、謎の人物が魅力的だったからこうも惹きこまれるのだろう。
考察
では、本作は結局どんな話であったのかを個人的に考察してみる。無論行間だらけなので正解はないだろう。
まず、物語Aが過去で物語Bが未来だと考えた。何故ならば、物語Bは話をみる限り、放射能を気にしないといけない世界。大震災か何かが起きた世界だろうと考えられる。そして、物語Bの少女は物語Aの少女と比べると生きている人間に見えない。まるで『雨月物語』のような現実離れした家と人間の関係が物語Bでは流れている。
そして、物語Bで登場する男は過去になんらかの悪事を、それも変態的な何かを犯していたことを匂わせている。
つまり、物語Aの女の子が後に男にレイプされ霊として転生した世界が物語Bなのではないだろうか。過去の自分が未来の自分の代わりに悪を倒すという『LOOPER/ルーパー』さながらのタイムリープものだったのだ。
これはあくまでブンブンの解釈。他の人の解釈も見てみたいなと感じました。
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