8年越しの花嫁 奇跡の実話(2017)
監督:瀬々敬久
出演:佐藤健、土屋太鳳、薬師丸ひろ子、古舘寛治etc
評価:80点
『8年越しの花嫁 奇跡の実話』タイトルを聞いただけでクラクラする。予告編を観ても全く食指が動かない。
しかし、映画仲間がブログで絶賛していた。どうやら、時間の描写と主人公の職業の使い方が凄いらしい。
』といったメジャー大作を撮っていたりする。ジャンルも実話、サスペンス、SFなど多岐に渡る。そんな彼がベタベタな実話御涙頂戴ものを撮っている。
この2点をおさえて観てきた。
※映画仲間・寺本さんのブログ記事「『8年越しの花嫁 奇跡の実話』-失われた時を戻して-
」
『8年越しの花嫁 奇跡の実話』あらすじ
衝撃の実話の映画化。結婚式目前に、カノジョが長い渾身状態に陥る。しかし、カレシは8年間諦めることなく待ちに待ち続けた…シネフィルよ!侮るなかれ!
正直、冒頭から職人技炸裂大傑作衝撃拾い物だった。
いきなり、強烈な土屋太鳳のどアップから始まる。そして、そこから佐藤健と土屋太鳳扮するカップルの出会いの日々が描かれる。これだけなら、中堅監督は簡単にやる手法だろう。しかし、瀬々敬久は捻りを加える。出会いのシーンが始まると直ぐに、時間軸を出会う日の朝に戻す。佐藤健扮する男の仕事を魅せるのだ。彼は自動車整備士。自動車に対する愛は熱く、気安く同僚にマシンを触らせない。この描写を挟むことで、その男が彼女にどれだけ愛をもって尽くすかを肉付けすることに成功している。単なる男のバックグラウンド紹介に終わっていないのだ。
さらに驚きは続く。これは実際に映画館で確認して欲しいのだが、プロポーズシーン。映画音楽に頼らず、ただ「結婚してください」と言うシーンなのだが、あるモノを使ったギミックが斬新。かつ非常にロマンチックで素敵だ。
さらにはデパルマ的ショットを使ったり、鋭いモンタージュを仕込むことで、徹底的に時間の重みを感じさせる。
男と女が結ばれるまでの時間、男だけが知る時間、男の記憶の中で流れる時間、彼女が再び手繰り寄せていく時間。
こんな大衆御涙頂戴もので、ここまで高度なギミックを使い、尚且つアヴァンギャルドになりすぎないバランス感に打ちのめされた。
彼女の父が、男に「家族じゃない」と言うシーンで涙が溢れました。参った!
土屋太鳳も珍しく演技が上手いのでシネフィルよ、観ず嫌いはダメだぞ!
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