マジック・マイクXXL(2015)
MAGIC MIKE XXL(2015)
監督:グレゴリー・ジェイコブズ
出演:チャニング・テイタム、
マット・ボマー、
ジョー・マンガニエロetc
評価:85点
今まで観ず嫌いしてきた作品がある。それは「マジック・マイク XXL」だ。2012年に巨匠スティーヴン・ソダーバーグが手がけた男性ストリッパー映画、いやチャニング・テイタム実録ドラマ「マジック・マイク」。日本でもBunkamuraル・シネマ等で上映され、女性客を発狂させるほどのクールでドープな演出でカルト的に話題となった。ブンブンも嵌まった一人で、劇中座っているのがキツい。スクリーンに飛び込んで、チャニング・テイタムたちにおひねりを投げつけたくなるような傑作だった。そんな傑作「マジック・マイク」の続編、しかも監督はソダーバーグの右腕なものの監督経験は浅いグレゴリー・ジェイコブズと聞いて、また予告編が微妙だったのも受け、「これって地雷作では?」とずっと毛嫌いしていました。今回Netflixにアップされていたので意を決して観たのだが、これが大傑作であった…
「マジック・マイクXXL」あらすじ
ストリッパーを引退したマイクは念願の家具ビジネスで生計を立てていた。そんな彼の元にターザンから連絡がある。マートル・ビーチで開催されるストリップ大会に出場するため、彼を必要としていたのだった。しかし、マイク達に立ちふさがる壁。それは「若さ」。彼らはもう年。レディ達を魅了するためには新たな「強み」を必要としていた。いままで通り「消防士」や「KISS」の音楽で盛り上げるだけで良いのか?彼らは旅を通じて、老いを、今までの自分を乗り越えていく…マッチョ版「ラ・ラ・ランド」だ!
ネット上を観ると、微妙な反応で包まれているのだが、ブンブンにとっては場外ホームラン級にステキなマッチョ映画でした。確かに、本作は前作のように、わかりやすいクールでドープなダンスシーンはありません。後半30分まで、非常に地味で地味だ。しかし、これぞ正しい続編だ!前作で華やかすぎる。青春の終わりを遂げたチャニング・テイタムに同じようなことをさせては二番煎じなのだから。
本作は、クリエーターとして、エンターテイナーとしてどうあるべきかを突き詰めることで、前作からの成長を辛辣に描いている。まず、全編通して辛いムードが立ちこめます。ストリッパー時代の仲間との再会。大会出場という新たな夢。きらびやかな描写に包まれている。なんだけれども、「俺たちはもう若くない」「これまでの演目で良いのか」とずっと苦悩している。今まで通り「消防士」や「KISS」の音楽で盛り上げれば、お客さんにウケる。しかし、本当に自分がやりたい演目ではない。もっと斬新で、フレッシュで若々しい何かをやってみせたい!そういうクリエイターとしての「悩み」が描かれているのだ。
」。「ラ・ラ・ランド」も全編クリエイターとしての苦悩を華やかな描写の中にねじ込んだ作風で、賛否両論真っ二つに分かれた。本作もそうだ。ものづくり、クリエイターとして活動したことがある者にとって涙なくして観ることができない作品。前半からブンブンは座っていられなくなり、立ちながらこの「マジック・マイクXXL」を観た。
そして、最初の見せ場でブンブンは号泣。そしてラスト30分の、「えーーーー!」と驚きの連続連続にこれまたおひねりを投げつけたくなった。マッチョ達の徹底したサービス精神、甘美な言葉でレディ達を魅了する。俳優達は、映画俳優としてではなくエンターテイナーとしてやってのける。なんて贅沢な時間なんだろう。これを劇場で観ることのできなかったブンブンは非常に後悔した。
「マジック・マイク」「マジック・マイクXXL」スタンディング強制上映、絶叫上映があったら是非行ってみたい。新文芸坐よ是非企画してくれ!
もうこの記事を読んで、興味を持った方は、本作を立/勃たずに観ることはできないであろう。
全力でオススメする一本です。
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