ジーサンズ はじめての強盗(2016)
GOING IN STYLE(2016)
監督:ザック・ブラフ
出演:モーガン・フリーマン,
マイケル・ケイン,
アラン・アーキンetc
評価:70点
SNSが発達し、気軽に情報交換できる時代。Twitterではしばしば、映画の邦題に関して論争を呼んでいる。それこそ最近だと、マーキュリー計画に携わった女性技術者を描いた「Hidden Figures」が「ドリーム 私たちのアポロ計画」と、計画名を偽って表記し炎上したり、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス
」に対し、「訳がわからん」とヤジが飛んでいたりする。
そんな中登場した珍邦題がこの「ジーサンズ はじめての強盗」です。原題は「GOING IN STYLE」。訳すると「堂々と行ったる!」的なタイトルだけに邦題を考えるのが難しい。そこをギャグに吹っ切れたなかなかハイセンスな邦題を ワーナー・ブラザース映画が付けました。ブンブン結構気に入っているのだが、やはりいざ観るとなると腰が引けてしまう。しかしながら、知り合いが絶賛していたこともあり実際に観てきました。これがなかなか良かったですよ♪
「ジーサンズ はじめての強盗」あらすじ
40年以上務めていた工場が合併することとなり、年金が打ち切られてしまい、おまけに家まで差し押さえられる羽目になった老人3人組は、冷たくあしらう銀行に対し復讐がてら強盗を企てる…実はリメイクだった!
本作は、「ビバリーヒルズ・コップ」「ミッドナイト・ラン」とバディコメディの巨匠マーティン・ブレスト監督のデビュー作「お達者コメディ シルバー・ギャング(GOING IN STYLE)」のリメイクです。正直、ブンブンこの記事を書くまで知りませんでした。ただ、全然元ネタ知らなくても楽しかったです。最近、「ハクソー・リッジ
」とハードな作品が続いていただけに、久しぶりの気軽に楽しめる映画でした。
なんたって、「ダークナイト」組のマイケル・ケインとモーガン・フリーマンが「リトル・ミス・サンシャイン」のアラン・アーキンを誘って、銀行強盗働くってだけで傑作は保証されたもの。実際、映画を観ると、あんなにアメリカや南アフリカの大統領や神様まで務めてきたモーガン・フリーマンが、マイケル・ケイン扮する主犯格に洗脳されて暴言吐きまくり、むちゃくちゃな強盗をするんだからもうブンブンの大好物ですよ!
モーガン・フリーマンのギャップ萌えを観たい人にはたまらない作品でした。
また、こうライトなコメディでありながらも、細かいディティールもしっかりしていました。まず、本作には銀行強盗をした後にご丁寧にもアリバイ再現シーンが流れる。こう聞くと堤幸彦の「イニシエーション・ラブ
」のあの丁寧すぎて酷いネタばらしシーンを思い浮かべてしまうでしょう。しかし、本作はしっかりと「驚き」や「サービス」を入れています。「イニシエーション・ラブ」のように、映画をよく観れば分かるようなことを語っている訳ではないのです。
そして、小道具の使い方も面白い。モーガン・フリーマンの時計を効果的に魅せることで、終盤の修羅場に実にスリリングに見えます。
さらに、銀行強盗に入る前日にしっかりと「狼たちの午後」を観て最悪の結末をイメトレするという、素晴らしいサービスショットまでかませてくるわけです。こりゃただのリメイクでもじいちゃんコメディでもない。
ここに注目:もはや中国に工場は作らない!
本作を観て、一番の肝が恐らく元ネタにはなかったであろう、年金カットの原因となるシーンです。老人3人組が働く工場が合併で、人件費の安い地域へ移転することとなったのだが、その移転先がベトナムだったのです!一昔前では、中国に移転することが主流だったのだが、今や中国は日本並みに人件費が上がっていることも受け、移転地が東南アジアのベトナムに変わっていたのです。
確かに、ブンブンが以前ベトナムに行った際、右も左も外資メーカーの工場でした。
これを観ると、慈悲もなく年金は切られ、銀行は老人を搾取し、企業は人件費だけを見ている現代アメリカを痛烈に皮肉っていることがわかります。ただのコメディと思って観ると思わぬ収穫に驚くそんな映画でした。劇場が満席になるほど盛況しているのも分かる作品でした。
セオドア・メルフィ監督or脚本作
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