【クラシック】「鬼婆」ウィリアム・フリードキンも怯える恐怖BBA映画

鬼婆(1964)
ONIBABA(1964)

監督:新藤兼人
出演:乙羽信子,
吉村実子,佐藤慶etc

評価:85点

日本人よりも外国人の方が詳しい日本映画がこの世にはある。フランス留学へ行った際、現地人の家に篠田正浩の「心中天網島」のDVDがあった。また、高校時代にアメリカに短期留学した際、現地の学生が溝口健二の「雨月物語」を授業で観たと語っていた。そして、今回紹介する新藤兼人の「鬼婆」はこれら以上に外国人の方が知っている作品だ。既にクライテリオンでDVD化されている他、「エクソシスト」「恐怖の報酬」のウィリアム・フリードキンが人生で怖かったホラー映画13選にも選んでいる作品でもある。また、アイスランドの映画館Bíó Paradísに行った際も、「AKIRA」のポスターの近くにデカデカと本作のポスターが貼ってあった。果たしてどんな作品だろうか…

「鬼婆」あらすじ

戦国時代、ススキの草原に迷い込む落ち武者を殺して、その武具を売りさばく老婆とその娘ありけり。娘は謎の男と恋仲になるが、老婆は許さない。老婆は嫉妬のあまり、般若の面をつけたサムライから奪った面を被って二人を引き裂こうとするが…

怖い!美しい!

本作はホラーとは言っても、ほとんど流血描写はない。
しかし、これがメチャクチャ怖かった。なんといっても、本作は陰影の使い方が芸術的なほど怖い。物語の舞台は、ススキ野の中。一歩先が見えないくらいススキが世界を支配している。ススキの不気味な揺らぎに観客の感情はぞわぞわぞわと揺さぶられる。そして、ススキの闇だけでなく、穴蔵の闇、家の陰影がただならぬ不気味さを演出している。ここは地獄かと思う程怖い。

般若にトラウマ!

そして、本作が恐ろしい最大の理由。それは般若のお面を使った演出にある。狡猾なBBAの家にある日、般若のお面を被ったサムライが訪問してくるのだが、これがトラウマ級に怖い。そして、ここから先はあまり言えないのだが、その般若のお面より人間の顔が段々怖くなってくる。ドンドン恐怖のボルテージが上がっていき、最後には阿鼻叫喚!なるほど、フリードキンも怯える訳だと納得しました。

それにしても、新藤兼人は奥さんになんてトンデモナイ役をやらせているのだろうか?
園子温が神楽坂恵にトンデモナイ役を演じさせるのに近いものを感じた。

そして、もう一つ気がついたことがある。
グザヴィエ・ドランの「トム・アット・ザ・ファーム

」のススキのでの死闘の撮り方が「鬼婆」に似ていた。ひょっとしてドランも「鬼婆」が好きなのかも知れない…

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