お嬢さん(2016)
THE HANDMAIDEN(2016)
監督:パク・チャヌク
出演:キム・ミニ、
キム・テリ、
ハ・ジョンウ、
チョ・ジヌンetc
評価:80点
「オールド・ボーイ」のパク・チャヌク監督が帰ってきた!
昨年のカンヌ国際映画祭を
揺るがした145分の
官能ミステリー。
サラ・ウォーターズの小説
「荊の城」を日本統治下の
朝鮮に置き換えた大胆な
作品とのことだが
果たして…
「お嬢さん」あらすじ
貧しい少女スッキは詐欺師・藤原伯爵と組み、
令嬢・秀子をなんとかして
精神病院に入れさせ、
莫大な相続を奪おうとする。
少女スッキはメイドとして
潜入。藤原伯爵は
秀子と結婚しようとするのだが…
ニホンゴのエロス
パク・チャヌクの最新作が
トンデモナイ爆笑
官能ドラマだということで、
シャンテに駆けつけたのだが、
意外と60歳以上のお婆ちゃんが
「あのぅ『お嬢さん』シニア1枚」と
窓口で言っているのには驚いた。
「おばあちゃん、
これタダのミステリーじゃないっすよ。
18禁の
パク・チャヌク監督作ですけど
心臓大丈夫?」と不安になります。
さて本作は、
サラ・ウォーターズの「荊の城」を
日本統治下の朝鮮に置き換えた、
欲望を巡るスパイミステリー。
しかし、一番の議論の焦点は
ミステリーよりも「日本語」にあった。
あやどの登場人物がたどたどしい
ニホンゴで演技する。
イントネーションがデタラメで
且つ難しい単語、卑猥な単語を
早く喋ろうとするから
何を言っているのか分からなかったりする。
これが滑稽で、劇場では
爆笑の渦に包まれていた。
でも
別に欧米人が監督している訳ではない、
韓国人のパク・チャヌクが監督しているので、
日本人や在日韓国人など
日本語が流暢な役者を
使えばいいのに
何故ニホンゴを韓国人役者に
演じさせねばならなかったのか?
ここに疑問を持ちながら観ていくと、
ある種、そこの演出に力を入れた故に
「荊の城」の換骨奪胎を
成功させたのではないかという
アイデアが浮かんだ。
主にその演出には2つの役割が
のではないだろうか。
緊迫感の増強剤としてのニホンゴ
まず、
日本統治下の朝鮮では、
日本語を強制された。
(授業ではハングル語の
授業以外は日本語で
授業を行っていた)
いきなり、貧しい者も富める者も
日本語を使わねばならぬ状況。
韓国語(朝鮮語)を使えば
日本人に暴力をふられる、
あるいは韓国人(朝鮮人)にバカにされる
その緊迫感をミステリーの
要素として与えたのではないだろうか。
劇中、
ただならない緊迫感が画面を支配していた
のもこのニホンゴによる演出が
大きかった。
エロス表現のツールとしての
ニホンゴ
2つ目に、
外国人が外国語でエロスを語ることで、
官能性を上げる役割があるのではないか。
実際に2つ目は劇場で
確認してほしいのだが、
ニホンゴを使った
エクスタシー描写の手数で勝負していたりする。
ミステリー自体は、
オーソドックスであっと驚く
展開に乏しい気がするのだが、
パク・チャヌクのぶっ飛んだ
官能とアイデアの世界にのめり込む。
「007」シリーズ張りの
特殊アイテムの多さにも惹かれる
2時間25分でした。
コメントを残す