【ネタバレなし】「退屈な日々にさようならを」これぞ群像劇!夢追い人の物語と思いきや…

退屈な日々にさようならを(2016)

監督:今泉力哉
出演:内堀太郎、
松本まりか、
矢作優etc

評価:95点

昨年の東京国際映画祭で上映されていた
「退屈な日々にさようならを」
の再上映が新宿K’sシネマ
行われていると聞いて行ってきました。

本作は、
「サッドティー」や
「知らない、ふたり」
などと
映画ファンの間で
人気を集めている今泉力哉
最新作で、かなり評判が
高い模様。実際に
映画のオフ会でも
昨年の邦画ベストテンに
入れている方をチラホラ
見かけている。

ブンブンの初今泉力哉監督作は
どうだったのだろうか?

「退屈な日々にさようならを」あらすじ

売れない映画監督の梶原は、
恋人とも関係が上手くいかず
ギクシャクしている。

ある日、酔っ払って道に倒れ、
目が覚めると…

夢を見ていた…

とにかく明るく
夢追い人たちを描いた
ラ・ラ・ランド

」が「陽」
で「動」の作品とするなら、
本作は「陰」で「静」の作品だ。

物語の前半は、
映画監督を夢見る男の
夢追い物語が展開される。
もがいてもがいて、
地雷を踏んで踏んで踏みまくる、
イヤーな感じを
会話の間でチクチクと観客を
刺してくる。

そう聞くと、辛い作品に
みえるかもしれないが、
このもがきが妙に笑える。

居心地の悪さにちょっぴり
ユーモアを加える
超絶技巧にドンドン
観客は引き込まれていく仕組みに
なっているのです。

そして、夢追い人の話を
追いかけていくうちに、
いつしか群像劇になっていくのだが、
気がついたときにはもう遅い!
シュールで戦慄の沼に
足を踏み入れてしまっているのです。

断片的な他の人の物語が、
段々と恐ろしい、
最も観客が知りたくない
形で結合していく怖さ。
でも、あまりに精巧に
完璧に作られた画面と
脚本のおかげで、
これが清々しい!

「たかが世界の終わり」のダメさが分かる作品

本作を観ると、何故
グザヴィエ・ドランの
たかが世界の終わり


がダメな映画化がよく分かる。

多用されるクローズアップに
意味が付加されていないのです。
「退屈な日々にさようならを」も
登場人物の顔に寄った
クローズアップのシーンが
多いのだが、観客に
深読みをさせるような演出に
なっている。そしてキチンと
最後の方で、各登場人物の
表情が説得力を帯びてくる。

顔のクローズアップは
感情表現の手段。
それを最大限活用できている点
「退屈な日々にさようならを」と
「たかが世界の終わり」には雲泥の差が
生じている。

非常に魅力を伝えるのが
難しいのだが、観て損はしない。
ブンブンシネマランキング2017
当確作品なので、
是非K’sシネマに
足を運んでみてください。

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