パリ、恋人たちの影(2015)
L’OMBRE DES FEMMES(2015)
監督:フィリップ・ガレル
出演:クロチルド・クロ、
スタニスラス・メラールetc
評価:80点
現在、渋谷イメージフォーラムでは
フィリップ・ガレル特集が
開催されている。
を仕留めた「パリ、
恋人たちの影」を観てきましたよ!
「パリ、恋人たちの影」あらすじ
ドキュメンタリーを撮っている映画作家のピエールは、
研修員のエリザベットに惚れる。
妻のマノンに内緒で彼女と
度々肉体関係を結ぶ。
そんなある日、エリザベットから
マノンが不倫をしている
ということを知らされ…
浮気 不倫 ダブル不倫
年末に斎藤工が
サンシャイン池崎の
ものまねで
「浮気 不倫 ダブル不倫」
とギャグをかましていたのだが、
なんとこの「パリ、恋人たちの影」では
たった73分の中に総てが
凝縮されていた!
行き詰まった作家が、
若い女に惚れて浮気し、
そこから不倫な関係へと走る。
しかし、実は妻も不倫していた
という衝撃的な内容だ。
クールな白黒の映像の中で
繰り広げられる陰惨な
倦怠期の夫婦の闘いが
繰り広げられるのだが
そこで展開される人間
心理の描き方がメチャクチャ
上手い。
愛と自己嫌悪
男は罪意識を持ちつつも
本能に抗うことが出来ず
不倫に走ってしまう。
「肉体関係だけ」という言い訳を
引っさげて。
そして、いざ不倫がバレ、
お互いに不倫を止めようと
なったときに、男は
妻を許せなくなってしまう。
下手に描くと、
自分勝手な酷い男に
見えるのだが、
本作では非常によく
空間とニュアンスで
心理を描き説得力を
持たせている。
妻の不倫が発覚してから、
男にとって妻は
自分の鏡のように
映ってしまう。
自分の罪を妻を
観ることで、
対峙してしまう。
元々、罪意識を持っていた
男だから自己嫌悪に陥り、
同時に妻を愛せなくなってしまう。
嫌な過去の自分を殺すこと、
それは妻を認めないことに
なってしまい、妻をいじめる
ようになってしまう。
「パリ、恋人たちの影」は
全編モノクロにし、
余計な関心を観客に
与えないようにし、
被写体の写し方を
「鏡」のように描くことで
台詞で描かなくても
空間的にこういった愛と
自己嫌悪描写に深みが増し、
極めて文学的な作品へと
仕上がった。
しかも上映時間も
非常に短いので、
失速することなく、
観客に「痛み」を与え、
風のように去って行くので
爽快だ。
ってことで、今観るべき
ミニシアター映画として
ブンブンはコレを全力で
推したい!
ただし、スコセッシの「沈黙」
との
二本立てはマジで地獄を
観るのであまりオススメしませんよw
P.S.
原題を直訳すると
「女性たちの影」という
ことを考えると、
今回の邦題は非常に
上手いなと感じた。
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