ディストラクション・ベイビーズ(2016)
監督:真利子哲也
出演:柳楽優弥,
菅田将暉,
小松菜奈,池松壮亮etc
評価:65点
ライムスター宇多丸も絶賛するバイオレント映画
「ディストラクション・ベイビーズ」。
丁度、公開時就活が忙しくて
観られなかったので、
DVDを借りて観ました。
ももくろ映画「NINIFUNI」の
真利子哲也がメガホンを
とったとのことだが果たして…
「ディストラクション・ベイビーズ」あらすじ
松山に、喧嘩マシーンと化した男・泰良が現れる。
彼は町ゆく強い人に喧嘩を
仕掛け、勝つまで追い回す。
そんな中、一人の弱腰青年・
裕也と出会い狂気の旅へと
誘われるのであった。
和製「ファイトクラブ」
柳楽優弥扮する主人公の名前からも分かるとおり、完全にあの名作
「ファイト・クラブ」から
インスパイア
を受けている作品である。
また、田舎町の暑苦しい
自然と狂気の融合を
感じさせる映像からは
中上健次作品の映画化
「青春の殺人者」や
「火まつり」を彷彿させる。
そんな世界を
柳楽優弥が菅田将暉が
圧倒的演技で支配していた。
ぎょろっとした目つきだけで、
危険な薫りをにじみ出す
柳楽優弥は存在だけで
メチャクチャ怖い。
一方、最初はへっぴり腰
だったのが、段々と
柳楽優弥の狂気を引き継ぎ
悪魔のようになっていく
菅田将暉の演技も
メチャクチャ怖い。
二人の悪魔のドロドロ
グチャグチャした
心情のぶつかり合いが、
まさに神話のように、
一人の男が悪魔になっていく
過程を紡ぎ出していて
面白い。
明確に語られるストーリーはない。
本当に中上健次のように、
うだるような暑さと血で
おかしくなっていく
人を良く描けた作品である。
惜しい!
ただ、決定的に本作は
惜しい作品だ。
今年はバイオレント映画の
当たり年で
「アイ・アム・ア・ヒーロー
」
「ヒメアノ~ル
」
から
「葛城事件
」
「ケンとカズ
」
「無垢の祈り
」
と多数の傑作が生まれた年だ。
それ故に、本作の暴力描写が
甘い気がした。
確かに暴力描写は多いし、
嫌らしく、そして痛々しい
描写も多い。
しかし、どこか寸止めで
終わらせているような音響や
編集で、なかなか主人公達の
「痛み」が伝わってこないのが
致命的である。
「ファイトクラブ」や中上健次もの
の映画にはしっかり、
暴力による「痛み」というのが
観客に伝わるように出来ている。
リアリズムを追求した結果、
その「痛み」が伝わりにくく
なってしまっていた。
やはり映画はファンタジー、
リアル+1で描かないと
キツイのかなーと感じました。
って訳でひじょーーーに
惜しい作品でしたm(_ _)m
惜しい作品に同意、ファイトクラブもそうですが監督が『ザ・ワールド・イズ・マイン』というコミックにも影響を受けているそうです。コミックレンタルで無いか探してますが見つからず気になっています。
「ザ・ワールド・イズ・マイン」はアマゾンで買うと中々値が張りますからね〜
近所の漫画喫茶にもなく辛いところです~_~;