13th-憲法修正第13条-(2016)
13th(2016)
監督:エヴァ・デュヴァルネ
評価:55点
アカデミー賞シーズンに入ってきて、映画ファンは盛り上がりを魅せている。今年の作品賞は、大手のライバルが極端に少なく、
しかし、今回長編ドキュメンタリー部門の予想が少し難しそうである。
それが「O.J.:MADE IN AMERICA」「I Am Not Your Negro」「13th-憲法修正第13条-」だ。なんと、NETFLIXで「13th-憲法修正第13条-」は観られるとのことなので実際に観てみましたよ。
「13th-憲法修正第13条-」概要
「グローリー」でアカデミー賞作品賞にノミネートされたアフリカ系アメリカ人女性監督エヴァ・デュヴァルネのドキュメンタリー。アメリカの人口は全世界の人口のわずか5%にも関わらず、刑務所収監人数は全世界の20%を占める異常な状態となっている。実際に調べて観ると、リンカーン大統領が制定した憲法修正第13条の例外に問題があることがわかる…
例外という抜け穴
憲法修正第13条というのは、「何人たるもの奴隷的拘束をしてはならない、ただし犯罪者を除く」というものである。リンカーン大統領は、南部の黒人奴隷をどうにかして開放しようと憲法整備した。しかし、一見普通、必然的とも呼ばれる例外が今でも悪用されているとのことが本作を観て分かる。
軽度な麻薬所持でも簡単に逮捕し、無期懲役になる仕組みができてしまったのである。しかも、刑務所は民営化されているので、犯罪者を更生させるのが目的なのに、
利益第一で、食品会社やセキュリティ会社とWin-Winの関係を築きあげ、とにかく常に刑務所に犯罪者が満ちあふれているような状況を維持する社会システムができあがってしまったのだ。
正直、鳥肌が立った。麻薬所持で捕まったのなら、中毒を治すのが刑務所の仕事なのに、利益を生む道具として使われているのだ。
ドキュメンタリーとしては軸がずれている
日本からは見えてこない、アメリカの犯罪と社会の関係性をわかりやすく解説しているのは非常に興味深かったのだが、どうも軸がずれているような気がした。憲法の例外のせいで悪化した黒人差別という軸と、刑務所システムの批判を同時にしており、あたかも憲法のせいで黒人が不当逮捕されているように見えた。確かに、間違ってはいないが、刑務所システムの問題は黒人だけの問題ではないはず。監督が黒人だからというのもあるのだが、論理よりも感情が先に出てしまっていて惜しい作品でした。
とはいえ貴重なドキュメンタリーなのでNetflix契約している人は必見です!
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