「永い言い訳」レビュー!「何者」にもなれない作家の苦悩、イクメンに挑戦するも…

永い言い訳(2016)

永い言い訳

監督:西川美和
出演:本木雅弘、竹原ピストル、
深津絵里etc

評価:85点

東京国際映画祭に「怒り

」「何者

」と
話題作続きで、
高い評判を得ているのになかなか
観に行けなかった西川美和監督最新作
「永い言い訳」を観てきました!

なんと原作は自身が書き、
尚且つ直木賞候補になった同名小説。
果たして…

「永い言い訳」あらすじ

妻が死んだとき、私は他の女とセックスをし、
全く涙が出てこなかった。

スランプに陥っている作家・津村啓は、
妻を交通事故で失うものの、
全く哀しくなかった。
そんな中、葬式会場で
かつての同級生と
再会し、見栄を張って
同級生の育児をすることになる…

16ミリが映し出す退廃

本作は、なんと16ミリで撮影されており、
どこか90年代のミニシアター映画を
観ているような気になる。

それが、本作のテーマである
「何者」にもなれない男の苦悩、
過去に囚われた男の葛藤を
上手く表現している。

主人公の小説家の本名は
衣笠幸夫と奇遇なことに
プロ野球選手・衣笠祥雄と同名だ。
それをいやがって、津村啓という
ペンネームで活動している。
しかし、最近は自分の満足
いく作品が作れず、
バラエティ番組で
いいように使われている。

小説家と謳っているが、
もはや小説家でもない
自分を無理矢理演出しようとしている。

そんな彼が、同じく妻を失った
同級生と出会い、見栄と私小説の
ネタ作りに「イクメン」デビューする。

しかし、これまた上手くいかない。
なんたってご飯を炊くことすらできない。
服もまともに畳めない。
子供とのコミュニケーションも上手く
いかないのだ。

そう、ピンときた映画ファンなら分かるだろう。
「何者」に出てきた、岡田将生扮する
意識高い系・隆良
がそのままこじらせて
大人になった感じなのだ。

結果を残していないのに、
自分を大きく魅せるために
「何者」かになってみせる。
そして、それがバレそうになる
時の気まずさがまさに
「何者」と同様、
腹がヒリヒリするレベルでしたw

西川美和の新しい一歩

西川監督といえば、
「ゆれる」や「ディア・ドクター」、
「夢売るふたり」
と巷では
高評価の作品を撮るのだが、
ブンブンはいつも
「何か物足りない」と感じる。

別に悪いところはないんだけれども、
説明はできないんだけれども、
何かが足りない。

しかし、今回はそんなブンブンでも
大満足のクオリティだ。
そして西川監督は
女性に興味ないのかと
思うほど今回、
男の厭な側面を徹底的に描く。
女性はまるで空気のように
扱っているところが
これまた面白い。
吹っ切れた西川美和を
垣間見たので、次回作も
大いに期待できよう。

おまけ:ちゃぷちゃぷローリーが
闇アニメ説

「永い言い訳」では劇中に
「ちゃぷちゃぷローリー」という
子ども向けアニメが流れるのだが、
じっくり見ると子ども向けアニメか
と思うほど闇深い。

例えば、人間に親を奪われた
子どものタコが「人間喰ってやる!
ボクはもうエビも魚も食わないぞ!」
と叫んでいたりするのだ。

いやー可愛い絵に反して
なかなかヤバそうなアニメでしたw

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