“Ç”ブニュエル問題作「皆殺しの天使」超へんなリアル脱出ゲーム!

皆殺しの天使(1962)
El ángel exterminador(1962)

皆殺しの天使

監督:ルイス・ブニュエル
出演:シルヴィア・ピナル,
エンリケ・ランバルetc

評価:80点

つい最近まで、
視聴困難だった
ルイス・ブニュエルの
問題作「皆殺しの天使」と
「ビリディアナ」

HDマスターでDVD化されました!

ということで、
ブンブンの好きな映画
「ブルジョワジーの密かな愉しみ」
の原点とも言える
「皆殺しの天使」を観てみたぞ!

「皆殺しの天使」あらすじ

オペラ鑑賞後にブルジョワジーたちは
豪邸で晩餐会を開く。
楽しい宴も束の間。
夜も更け、彼らは帰路に
つくのかと思いきや誰も
帰ろうとしない。

「帰ることを忘れたかのように」
そして、皆が客間から
出られなくなり数日が経過。

豪邸の外では警察や野次馬が集まり…

斬新過ぎる密室脱出もの

密室脱出モノといえば、
「CUBE」や「SAW」など沢山アリ、
低予算、限られた設定の中で
秀逸なアイデアが絞り出された
歴史を持つジャンルである。

しかし、1962年に作られた
本作ほどビザールなシチュエーションは
後にも先にもないだろう。

扉さえ出ればいいものを、
誰も出ようとしない。
別に扉も鍵が掛かっている訳でもない。
そう、本作が凄いのは
「脱出しようという意欲」
忘れるという大胆なトリックを使っているのだ!

ドンドン食料もなくなり、
ブルジョワジーは飢えと渇きに
苦しむようになる。
野性的になるだけで、
真剣に出ようとしないのだ。

また、豪邸の外側でも
警察や子どもが豪邸に入ろうと
するのだが謎の魔力で近寄れない。

「富豪」と「平民」の超えられない壁が
あるかのように。

世の中に出回っている脱出ものの
ほとんどが「物理的」に閉じ込められている
のに対し、本作は「精神的」
閉じ込められた人々の脱出を
描いていることが分かる。

そして、ブニュエル特有のデカダンスで
挑発的なビジュアルがストーリーを
盛り上げドンドン引き込まれます。

特に、聖母(?)の絵が彫られた
扉の下から血が流れ出す
シーンはぞわぁとしました。

ブンブンは何を言っているのだ?
と思うかも知れないがホントウに
そういう映画なんです。
是非、観てその目で確かめてください。

ルイス・ブニュエルって?

スペイン出身のシュールレアリスム映画監督。
1928年に画家のサルバトール・ダリと
「アンダルシアの犬」を撮りカルト的
評価を得る。

政治的作品「黄金時代」や「忘れられた人々」
等多数製作。その都度、論争を巻き起こした。
後期にはフランスを中心に「昼顔」や
「哀しみのトリスターナ」などの作品を撮り、
1972年の「ブルジョワジーの秘かな愉しみ」
ではアカデミー賞外国語映画賞を受賞した。

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