7/4(月)、キアロスタミ癌に敗れる
カンヌ映画祭、ヴェネチア映画祭を
受賞し、イラン映画にニューウェーブを
巻き起こした巨匠アッバス・キアロスタミ
監督が、昨日(現地では7/4)に
パリで亡くなりました。
76歳とのこと。
死因は癌で、
中国で新作を撮る前に
治療で訪れていたとのこと。
彼は1940年にイランのテヘランで生まれました。
1970年に短編「パンと裏通り」でデビューしました。
自分のスタイルを模索する中、
「ジグザグ道三部作」である
「友だちのうちはどこ?」や
「そして人生はつづく」「オリーブの林をぬけて」
を発表。
素朴な人間ドラマにドキュメンタリー
要素を加えた独特で味わい深い
作風で世界中の映画ファンを魅了。
日本ではユーロスペースを中心に
上映された。
そして1997年にカンヌ国際映画祭で
発表した「桜桃の味」では、
今村昌平の「うなぎ」と並び
最高賞であるパルムドールを受賞した。
そんなアッバス・キアロスタミ監督は
小津安二郎監督に影響を受けており、
「オリーブの林を抜けて」を始め随所に
彼を意識した撮影技法が伺える。
彼の最近の作品の傾向として、
海外ロケを行うことが多くなってきており、
「トスカーナの贋作」ではイタリア、
ユーロスペースが製作に携わった
「ライク・サムワン・イン・ラブ」は
日本で撮影を行っている。
ちなみに彼の新作は
冒頭にも書いたとおり
中国で、ジュリエット・ビノシュ
曰く「巨大ビルで無数もの
部屋を掃除する女性の話」
を映画にする予定だったとのこと。
ブンブンも思い出深い
キアロスタミ監督
ブンブンが、キアロスタミ監督の
作品と出会ったのは中学3年生の時。
「桜桃の味」という素朴なタイトルに
惹かれて観ました。
自殺幇助をするため、
四輪駆動車でテヘラン近郊を
彷徨う男。
クローズアップで淡々と語る
男たち、そしてオレンジに輝く
大地、詩のように流れる
演出にブンブンの心は
鷲掴み!
これ以降、イラン映画に
魅了されてました。
これを機に、大学では
「映画と国民性」の研究を
しようと思い立ちました。
実際に大学では、
ヌーヴェルヴァーグ
についてや
チェコ・アニメーション
についてのレポート
を
書いたり、
卒業論文は
デンマーク映画における
暴力性について執筆を
しています。
今日は、そんな思い出深い
アッバス・キアロスタミ監督
の作品の中から3本
オススメ映画を紹介します。
1.友だちのうちはどこ?(1987)
友だちの宿題ノートをうっかり持ち帰ってしまった、
少年が友だちの家に
一日かけて返しにいくという
「果たして映画になるのか?」
と思ってしまうようなあらすじ
だが、これがハラハラドキドキ!
大人になると、
些細な事件でも
子どもにとっては生死を
かけた大事件!
本作を観ると幼少期を
思いだし懐かしく感じるぞ~
2.トスカーナの贋作(2010)
イタリアのトスカーナを舞台に、ライターの男と謎の女が
夫婦ごっこをするという話。
演技のつもりが段々、
リアルの夫婦になっていく様を
ジュリエット・ビノシュが好演!
トスカーナの魅力を出しつつも、
キアロスタミのシンプルで
奥深い話に魅せられる。
実写版「鋼の錬金術師」撮影チームは
イタリアで撮影中とのことだが、
しっかりこの映画を観て
撮影に励んで頂きたい。
ライク・サムワン・イン・ラブ
(2012)
アッバス・キアロスタミ監督が日本で加瀬亮を起用して撮った作品。
イラン監督が日本で映画を
撮ると「CUT」もそうだが、
全然違和感がない。
インディーズ映画監督の
デビュー作を思わせる
質感が広がっていてこれまた
不思議!
束縛男と女のカップルの
いざこざに巻き込まれた
おじいさんの
心情をゆったりと描く…
と思いきやラストに衝撃を受けますw
キアロスタミは年老いても
チャレンジ精神旺盛な方だと
分かる一本です。
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