ヘイル、シーザー!(2016)
HAIL,CAESAR(2016)
監督:コーエン兄弟
出演:ジョシュ・ブローリン、
ジョージ・クルーニー、
チャニング・テイタムetc
評価:50点
コーエン兄弟は恐ろしい監督だ!
大抵映画監督は、一定の型や
ジャンルに沿った作品を作る。
スピルバーグはアクション大作みたいに。
しかし、彼は「ノーカントリー」の
ような激しいバイオレンス映画から
「インサイド・ルーウィン・デイヴィス」
といった実話音楽ドラマ、
西部劇の「トゥルー・グリット」から
「ビッグ・リボウスキ」のような
はちゃめちゃコメディまで手がけている。
そんな彼が、意欲的に新たなフィールドに挑んだ。
それは1950年代内幕ものだ!
1950年代、ハリウッドでは
映画やブロードウェイの裏側を
描いた作品が社会を賑わせた。
「イヴの総て(1950)」や
「雨に唄えば(1952)」、
「バンドワゴン(1953)」など
豪華絢爛の中の葛藤や
闇、さらには愛が描かれていた。
そしてこの時代、
テクニカラーと呼ばれる、
今観てもびっくりする
ぐらい彩度高き映像技法が
使われていたので
より一層ゴージャス感が
盛り盛りだった。
そんな1950年代の内幕モノ
完全再現を目指して挑んだのが
本作なのである。
「ヘイル、シーザー!」あらすじ
1950年代ハリウッド、映画スタッフの問題がメディアで
取り上げられる前にもみ消す
「何でも屋」エディ・マ二ックスは
今日も大忙し。
聖書にまつわる映画製作を
巡って各宗派のアドバイザーを
説得したり、
興業の行く末を握るコラムニスト
に弱みを握られないよう
逃げてみたり、
さらには誘拐されたジュリアス・シーザー
役男優を救助したり…
彼の安らぎは懺悔室だけ。
そんな彼の数日を覗いてみよう…
大事なのはストーリーではない!
本作は、予告編を見る限り
ミステリーに見えるが、
実は全然違います。
確かに、主人公は何でも屋であるのは
間違いない。
誘拐事件を解決するのもホントウだ。
しかし、本作は群像劇だ。
1950年代内幕モノあるある。
主役がどんどん変わっていくタイプだ。
故に何でも屋が懺悔室で
「簡単な仕事を選ぶか
大変な仕事を選ぶか迷ってます」
って台詞に全く重みがない。
ましてやこの後に「64-ロクヨン」
を観てしまうと、あまりの
ゆるゆるに笑ってしまうほどだ。
しかも、ウェス・アンダーソンの
映画のように謎はいつの間にか
解決していて「ヨカッタネ」ちゃんちゃん。
だから、ミステリー目当ての人は
肩すかしを食うだろう。
しかも、ネタが分かってないと
辛い描写が多いので、
最低でも1950年代のミュージカル史と
ハリウッドテンという渋いところを
押さえておく必要がある。
ということで50点をつけたのだが、
その50点はホントウに凄い。
マジで1950年代のアレそのものを
やってのけている。
なのでこっからは、全力ネタバレ&
解説をします。
今回は未見でネタバレ観ても
たいして影響ないのだが、
ネタバレされたくない人は、
このページを閉じて映画館へ行こう!
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