ヤコペッティの残酷大陸(1971)
Addio zio Tom(1971)
監督:グァルティエロ・ヤコペッティ
評価:80点
先日映画ライター高橋ヨシキの
タランティーノ映画解説で
「残酷大陸」が紹介されていて
面白そうだったので
TSUTAYA渋谷店で借りて観たぞ!
「残酷大陸」あらすじ
やらせドキュメンタリーの巨匠グァルティエロ・ヤコペッティが初めて手がけた
長編劇映画。
「アメリカの奴隷制度時代で
ドキュメンタリーを撮ったら?」
というコンセプトの基、
黒人売買の様子や黒人奴隷船の
劣悪な環境を再現した作品。
グァルティエロ・ヤコペッティって?
1960年代にモンド映画というジャンルを
構築した、元芸能記者の監督。
性風俗ドキュメンタリーの
制作に関わった後、
やらせドキュメンタリー
「世界残酷物語」で
世界の映画人を釘付けにした。
「さらばアフリカ」などと
いった作品を手がける。
今は作れない怪作
アメリカでは南北戦争時代の
奴隷制度を真っ向から描いた
作品が極端に少ない。
故にタランティーノの
「ジャンゴ 繋がれざる者」でも
引用されたイタリア産奴隷制度物語
なのだが、これが凄い!
何が凄いかって、再現率が高すぎるのだ!
例えば、奴隷船の様子。
無数の黒人奴隷が船にひしめき合っていて、
白人が扉を開けると、
外の空気を吸おうともがく。
このいや~な感じ、役者も
よく演じたよね。
また、奴隷は「人間」としてではなく
「商品」として見られていたので、
入念にシラミを除去し、
商人が商売相手にプレゼンする、
黒人奴隷一人一人の売りポイントを
語るところなんか、
作り物ではなくリアルなんじゃないかと
思うほどに丁寧に描かれている。
音楽が凄い!
そう聞くと、非常に真面目でシリアスな映画に見えるかもしれないが。
流石はイタリア。チャラいのだ!
凄惨な映像が展開されているのに、
音楽はロマンチックなのだ!
特に名曲Riz Ortolaniの「Oh My Love」の
切れ味は抜群で、
あのライアン・ゴズリング主演作
「ドライヴ」でも引用される程の
素晴らしさです。
また、ラストシーン。
現代の黒人シーンでの
ロックとスローモーションの
ダブルパンチにも注目して頂きたい。
ある意味、プロパガンダな程に
洗練された嫌悪表現描写には
くぅ~と痺れました。
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