皆殺しのバラッド
メキシコ麻薬戦争の光と闇(2013)
NARCO CULTURA(2013)
監督:シャウル・シュワルツ
評価:70点
4/9(土)より新宿ピカデリーにて
公開の「ボーダーライン」。
リメイク版「ブレード・ランナー」
監督のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が
カンヌ国際映画祭コンペに出品した
メキシコ麻薬戦争映画だ。
また5/7より、このメキシコ麻薬戦争
を描いたドキュメンタリー
「カルテル・ランド」も公開されるので、
今回、予習として昨年イメージフォーラム
にて公開された
「皆殺しのバラッド」を観たぞ~
あまりにおぞましく腐敗しきった
メキシコが突きつけらる…
「皆殺しのバラッド」概要
イスラエルの報道カメラマンであるシャウル・シュワルツが2000年代
以降過激化したメキシコ麻薬戦争
最前線シウダー・フアレスに密着。
本作はその中でも
スペイン語の過激なラップを見込まれ、
メキシコギャングにお呼ばれした
カリフォルニアに住む青年と
日々同僚が暗殺される
警官の一人に焦点を置いている。
今のドキュメンタリーがヤバい
本作も今度公開の「カルテル・ランド」、
そして「アクト・オブ・キリング」と
最近、Youtuberもビックリなほど
危険な潜入ドキュメンタリーが
増えてきている。
カメラが小型化、高画質になったせいか
明らかに旧来のヤコペッティ映画の
ような「世界の隠された世界を覗くぞ☆」
みたいな生やさしさ、陽気さはなくなっており、
観客も一緒に地獄体験へと引きずりこむ
作品となっている。
そんな中での「皆殺しのバラッド」も
冒頭からショッキングな映像で
「リアル」を観客の急所へねじ込む。
銃撃や爆破で、血だらけまるこげ
になった人を警察官や救急隊員が
救助する。しかし、周りにいる群衆の
口からは、「またか…」という声が漏れる。
もはや子どもも凄惨な死になれてしまっている
危険な状態が、もう冒頭から感じ取れる。
そして、ほとんどの殺人が
メキシコを牛耳る
ギャングの手によって
検挙されることなく放置プレイとなる。
そんな現実を3つのパートから
えぐり出す。
1.アメリカ人ラッパーの恐怖
アメリカのカリフォルニア州に
住むラッパーの青年は、
スペイン語の歌を依頼主の
要望通りに作る仕事をしていた。
ある日、ラップがヒットし
なんとメキシコの麻薬ギャング
にお呼ばれされてしまう。
いざ、メキシコに行き
ホンモノのギャングに
会うのだがこれが怖い。
一応かっこつけて、
ドラッグに挑戦したり、
銃を撃ったりするのだが、
びびっているのが丸見えな
感じの青年を観て、
「こいつ帰れるのかな」
と不安になる。
また、ギャングたちは
プロパガンダ映画を
作っているのだが、
これが「アクト・オブ・キリング」
同様意気揚々とやっていて、
恐ろしい世界が広がっている…
2.ギャングスタの日常
なんと、本作では麻薬ギャングの
アジトが出てきます。
なんと、一流企業のようなでっかい
オフィスを構えており、
一見すると麻薬組織に見えないのだw
しかし、オフィスの中には銃が
沢山あり、常に襲撃されないか
護衛を携えている。
まるで戦国時代のような光景である。
3.警察官
メキシコ、シウダー・フアレス
で最悪な仕事。警察官。
家族をギャングによって殺された
男が復讐心で警察官をやっている。
しかし、もはや麻薬ギャングは
軍隊を保有するほどの力を
持っており、常に警察を
暗殺している。
そんな危険な状況下でも
シウダー・フアレスを
平和にしようと頑張っている…
なんだか現代のバットマン
みたいなストーリーに
熱くなる…
町山智浩の解説曰く、
近年アメリカが国内の
麻薬緩和を施した
理由として、
メキシコの麻薬ギャングを
倒すためとのことだが、
もう制御不可能なほどに
腐敗してしまっている
メキシコ政治に
果たして立ち向かえるのか。
また、麻薬を合法化したことにより
アメリカの治安が悪くなるのでは
といった心配まで起きてくる。
日本にいると気づかない、
恐ろしい現実に阿鼻叫喚
しました。これは「ボーダーライン」
も「カルテル・ランド」も観たいね~
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