さようなら
監督:深田晃司
出演:ブライアリー・ロング、新井浩文、ジェミノイドF、村田牧子etc
評価:80点
東京国際映画祭で衝撃を与えた異色のディストピア映画。
「ほとりの朔子」で映画人を唸らせた深田晃司が、
平田オリザとマツコロイドを作ったことで有名になった
ロボット技術者・石黒浩という異色の組み合わせで
原発事故を描いた。
後にも先にもないような企画果たして…
東日本大震災から距離を置けるようになった日本人
東日本大震災後、日本人はなかなか震災を客観的に捉えることが出来ないでいた。
直接的なドキュメンタリーや、
あの園子温さえ「ヒミズ」「希望の国」といった
直接的アプローチが出来ずにいた。
しかし、先日紹介した「ひそひそ星
」然り、
日本人もようやく震災の傷跡、原発事故から
距離を置いて映画に投影できるようになった。
今回の「さようなら」では、「風景」から意気込み
が見受けられる。木造建築の中で
白人が、フランス人のようなイギリス人のような
女性が横たわっている。日本とは思えない、
どちらかというとロシア映画、中欧映画のような
陽光か差し込む部屋から物語は始まる。
アンドロイドに英語で語りかける白人、
てっきりココは外国なのかと思いきや、
実はココは日本だと分かる。
そして原発事故で放射能汚染が深刻になり、
日本人が順番に移民として国外に逃げている
世界だと分かる。
そして、全科を持った中年の女性とその白人女性
が自分の亡命順番が最後の方だと悟り絶望していく。
ただソレダケの話なのに、非常に詩的で
力強く魅せてくる。
本編では、日本語・英語・フランス語が飛び交う。
政府から見放された人から見た、底辺の中の勝ち組
を観て感じる絶望。痛い、そして抗えない強き人の
罪で滅ぼされていく様子が悲しい。
原発事故の話ではあるものの、
徹底的に日本離れして描くことで、
物語に普遍性が見えてくる。
人間の罪によって起きる悲劇が
客観的に描かれる。
ジェミノイドFの演技が凄い
本作では先述の通り、アンドロイドが
出現する。ペッパー同様、プログラミングして
あるんだとは思うが、それにしても演技が上手い。
まるで感情があるかのような絶妙な間、
相づち。石黒さんの人間観察力が
とっても活かされている。そして、
そんな彼をコントロールして世界観を
創り上げた深田監督も凄まじい。
日本にしては珍しい、
ヨーロッパ寄りのSF映画であるが、
チープさを感じない。
アート性の高い、ペッパーやロビくん
といったアンドロイドが活躍する時代かつ
東日本大震災から時間が経った今だからこそ
なせる業がそこにはあった。
ちなみに、余談だが本作が何故R15かと
言うと映倫によれば性描写がちょっと
激しいからだそうです。
日本映画にしては結構裸シーン多い気が
したが結構普通でしたぞw
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