青春残酷物語(CRUEL STORY OF YOUTH)
監督:大島渚
出演:桑野みゆき、川津祐介、久我美子etc
評価:80点
大島渚が弱冠28歳で撮り、
日本中を震撼させた作品「青春残酷物語」。
ゼミで大島渚を紹介する為、
観てみました。
「マックス・モン・アムール」や「愛のコリーダ」
と激しい作品を作る大島渚ですが、
初期作もフルドライブでエグい作品を作っていました…
「愛のコリーダ」の原点!
モンド映画のパイオニア「世界残酷物語」の邦題にも影響を与えたこの作品ですが、想像を超えて残酷だ!
ある女子学生が、自宅まで送ってもらおうと
おっさんの車に乗る。すると、
おっさんが発情して女に迫る。
それをある青年が助ける。
それ以来、女は青年に惹かれるが、
彼は暴力に生きるドSな男で
女はDVに遭う。
それでも、青年が好きな女は
彼とオヤジ狩りに出るのだった…
前半は完全にDVもの。
少女漫画ものっぽい
白馬の王子様ストーリーだが、
その王子は壁ドンではなく、
海ドン!と女を海に突き飛ばしたり、
浮気をしたりとキザで嫌な奴。
しかし、大島渚の演出テクニックで、
非常にその青年が魅力に見えてしまう
のが恐ろしい。なんたって、
けんかのシーンがめちゃくちゃ
格好いいのだ!
なんとなく、DVされても男を愛し続ける
女の気持ちがわかる恐ろしい作品だ。
後半は「狼よさらば」テイスト
そして物語が進むと違う作品へとなっていく…「狼よさらば」に影響を与えたのではと
思うゲスの極みがそのカップルで繰り広げられる。
今じゃ考えられないのだが、
昔は、女が夜遊びから帰る時、
暇そうな車の窓をトントンし、
ヒッチハイク的要領で帰るのだそうだ。
中には発情してお痛するおっさんもいる。
それを逆手にとって、女がおっさんに
わざと襲われ、青年が暴力制裁で
おっさんから喝上げして金を稼ぐ。
そう、後半の展開はクライムサスペンスなのだ!
荒稼ぎをして、豪遊していると、
ヤクザに目をつけられヤバい状況に
なったり、女は学校で変な噂を立てられ、
周りから目をつけられる。
そんな危険な状態でも、女は男を
愛し続ける純愛。
まさに「愛のコリーダ」の原点が
既に築かれていたのだ!
正直、予算不足のせいか、
画面の移り変わりが唐突で
荒いのだが、
松竹ヌーヴェルヴァーグの代表作
と言うにふさわしい。
当時の文化を知れ、
尚且つDVものなのに
シンパシーまで生まれてしまう
恐ろしい作品でした。
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