”Ç”映画産業の取り組み特集

新しい映画の試み

さてこのような斜陽期を迎えている映画館業界だが、
各映画館、映画関係者で様々な試みが行われている。
まず、先日公開された

『鷹の爪7 女王陛下のジョブーブ』は
ジョブーブ(タウンワーク)がスポンサーにつくことで、
無料上映を実現した。
企業は宣伝費用とし映画館代を無料にする。
映画館側は、映画料金が無料になった分
ポップコーンやドリンクといったコンセッションで
収益を上げるという作戦である。
一見この作戦は有効なように見えるが、
企業と企業のギブアンドテイクな関係が
作品に影響を及ぼす恐れがある。
得意先の企業がよく見えるように
映画を作らざるおえない状況が発生する可能性が高く、
長期的にみた場合、作品のマンネリ化による
映画館離れが起こる恐れがある。

ブンブンの提案

そこで映画を情報収集の場ではない。
楽しむ場として考えてはどうだろうか?
インドでは映画館でクラッカーを鳴らしたり
踊ったりすることが許されている。
その文化を2013年
したまちコメディ映画祭in台東に持ち込まれ、
ボス その男、シヴァージ』で実際に行われた。

これをマサラスタイルと呼び『きっと、うまくいく』や
恋する輪廻オーム・シャンティ・オーム』、
2014年5月3日公開の『スチューデント・オブ・ザ・イヤー狙え!No,1!!』等の
インド映画で行われている。

その新しい映画スタイルが「インド」という
枠を超えようとしている。
アナと雪の女王』がTOHOシネマズ等の
劇場で“みんなで歌おう♪”歌詞付き(限定公開)を始めている。

もはや、映画館は「映画」を
観せるために集客を行う時代ではなくなった。
ライブや演劇のように、
その場でしか体験できない
一度きり」の楽しさを提供できなければ
映画館は絶滅してしまうだろう。

ミニシアター・名画座系消滅の危機?

すでに2012年、浅草中映劇場が閉館すると、
映画の街であった浅草から映画館が完全消滅してしまった。
また、バルト9やTOHOシネマズといったシネコンがかつて
ミニシアター系と呼ばれていた
小規模興行向きの作品を上映するようになり
(例えば、バルト9でカンヌ映画祭にて
パルム・ドールを受賞した『ツリー・オブ・ライフ』、
TOHOシネマズ渋谷
デンマーク映画『メランコリア』を上映していた)、
銀座シネパトスや吉祥寺にある
バウスシアターなどが閉館へと追いやられた。

確かに表向きは施設の老朽化に伴う閉館と公言しているが、
新宿武蔵野館がリニューアルかつシネマカリテという
別館を作ったことを考えると、
資金難でリニューアルができないから閉館と捉えることが自然である。

私たちの生活から「映画」は情報得るため
としては消滅しようとしている。
娯楽として考えても、
スマートフォンという手軽な代物がある。
情報通信統計データベースの
映像・音声コンテンツの利用端末(平成 24 年末、総務省)」によると、
パソコンの全体利用率は79.4%、
スマートフォンは46.1%と依然パソコンの方が高いのだが、
屋外、屋内使用率比較をすると、
パソコンで映像・音声コンテンツを使う場面は屋内、
そしてスマートフォンは屋外で使われることがわかる。
さらに
映像・音声コンテンツの利用目的(平成 24 年末、総務省)
を見ると、上位3つが

自分の好きなアーティストなどの動画を視聴するため(64.4%)
話題になっている動画・番組を視聴するため(50.5%)
自分の好きな時・場所で視聴できるから(37.9%)

となっている。 映画館で映画を観るとは屋外で
映画を観ることである。つまり、
上記の結果よりスマートフォンは娯楽としての
使用道具へも変貌を遂げ、
映画館で映画を観る人の割合を減らす要因にもなっていると言える。
このことから「映画館で映画を提供する」考えから
映画館で一度きりの体験を提供する
考えへとシフトしていくことが
「映画館文化」の寿命を延ばす最善策だと結論付けた。


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