”Ç”ダニエル・ラドクリフがゲイに…「キル・ユア・ダーリン」

キル・ユア・ダーリン(KILL YOUR DARLING)

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監督:ジョン・クロキダス
出演:ダニエル・ラドクリフ、ディン・デハーンetc

ハリーポッターシリーズが終わり最近、
ホラーやB級映画に出まくって、
苦境の時代だと思われるラドクリフ。

今回、アメリカ文学界に
革命を起こしたビートジェネレーションの
メンバー:アレン・ギンズバーグを
演じたぞ。

残念ながら、文学好きにしか受けなさそうな
硬派な内容と、ゲイ描写で日本では
昨年期間限定公開となりましたが、
文学好きのブンブンの興味そそる
作品でしたぞ(‘ω’)

ビートジェネレーションはこうして作られた

アメリカ文学史上、最も異質かつ
アメリカ文学界にアメリカらしさを与えた文学運動
ビート・ジェネレーション創世記を描いた作品「Kill Your Darling」。

同じく、ビート・ジェネレーションを描いた
「オン・ザ・ロード」と比べると
この運動が何をしたかったのかが分かってくる。

表面的なことを言うと、
「オン・ザ・ロード」ではジャック・ケルアック
視点で描かれている為、狂った人々を
後ろから観察する冷静な男と
自分を定義している。

一方アレン・ギンズバーグ目線のこの作品は、
ナンパが上手く花形のフットボール部に
所属しているのに文章が上手い
神童として映っている。

そして、どちらも、
ウィリアム・S・バロウズに関しては同様の見解、
ドラッグに詳しい男として扱われているところが面白い。

深く入り込む

深く観ると、ビート・ジェネレーション・メンバーが
如何に学校で教える欧州文学を批判しているのか
がよく現れている。
前半、アレン・ギンズバーグが後に惚れる男
ルシアン・カーが卑猥な詩を歌う。

リズミカルな言葉の旋律にも関わらず、
学校側から目の敵にされる彼に惹かれ、
学校に反抗するメンバーの一人になっていく。
そして、ある日の夜、学校に忍び込んで展示場の本を、
「チャタレイ夫人の恋人」や
「ユリシーズ」といった禁書にすり替える。

このシーンを観ると、
シェイクスピアのような舞台劇やフランスのような
流れる言い回しを真似ばかりしていたら、
アメリカらしい文学は生まれない。

移民国家で混沌とした
アメリカを描くためには、
セックスや多少の不敬は必要だと彼らが
思っていたことが分かる。
ケルアックの「路上」ではジャズのように即興的で、
内容も一期一会の出会い頭にセックスしかない、
欧州文学では味わえないタッチがそこにある。
愛を回りくどく書くのではなく、
本能的に愛すらない行為を描いている。
「愛」を重視する欧州文学への反骨がまさにここから生まれている。

ゲイゲイ話

さて、そのような環境でアレン・ギンズバーグは
ルシアン・カーを愛してしまう。
そして、元恋人で同居人
デヴィットを殺したルシアンに対して
の心の整理をするべく、
学校の課題小説に事の顛末を書く。
警察に証拠として提出するのではなく、
あくまで小説として学校の課題で提出した理由に、
アメリカの文学のあり方に対する批判、
学校に対する批判を叩き付ける
ビート・ジェネレーションの魂を
貫き通すためだと言える。あくまで小説家として、
自分たちが創り上げてきたものを大切にする。
警察に真実を語ったら崩れてしまう、

アレンとルシアンの愛も本当の
終わりを告げてしまう為、
小説として学校に提出した。
ジャズはアフリカ系アメリカ人の音楽と
西洋音楽の融合で出来上がった。
ビート・ジェネレーションは愛や欧州文学の方程式を崩し、
本能をありのまま受け入れた上で成り立っていると
考えるとアレンとルシアンの愛は
犠牲的でより一層切なくなるのでした。
「キル・ユア・ダーリン」予告編

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