“Ç”「ソロモンの偽証 前編・事件」:事件編だからとなめたらアカン!

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ソロモンの偽証 前編・事件

監督:成島出
出演:藤野涼子、石井杏奈、佐々木蔵之介etc

宮部みゆきのミステリーは、
映画監督がチャレンジ
したがる為か、
大林宣彦や森田芳光、
金子修平などが
今まで映画化に挑戦してきた。

今回、「八日目の蝉」でミステリー
撮れることを
証明した成島出が、
新人キャスト多用で
みゆきミステリーに挑む。

そのタイトルは「ソロモンの偽証」だ!

「ソロモンの偽証」とは?

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正直、観る前完全になめきっていましたw

なんたって、ハードカバーで
3巻平均700ページ
を超える内容。
あまりに多すぎる登場人物、
これはテレビドラマ12話分
約12時間で
語るべき内容じゃないかな~と
思ってた。

あらすじは、
クリスマスイブに
クラスメイトが死体が
学校で見つかり、
警察や先生は自殺で
片付けようとするが、
生徒たちは不審に思い、
不安と疑心暗鬼が爆発して
学校で生徒主体の裁判を開く話。

ちょっと中二病っぽい内容なんだよね~

しかも、予告編見る限り生徒役は
無名揃い
ヒットも狙えそうにない。
露骨にタイトルに「前編・事件」と
謎解きしないですよーアピール
までしてて危険な賭だ。

成島が魅せるミステリーテク

しかし中身は、前編だけで既に
テンションマックス。
「誰が犯人だ?」
「何がその時あったのか?」と
メッチャ考えさせられる
「解かせるミステリー映画」
としてのクオリティ高かった!

まず、問題になってくるのは
「原作のどこを端折るか?」
「どこを改変するか?」といった問題。
ここまでの長編小説をベースに置くと、
どうしても削らないといけない
部分があるが、この削り方が上手い。

ネタバレしないように語ると、
悪徳テレビレポーター茂木の描写。
原作だとマジで性格悪く、
問題のシーン(映画か小説で確認してね)も
2段階ぐらい踏む鬼畜っぷり。

しかし、時間との闘いである映画版は
茂木とテレビ局との
関係描写をカット、
そして問題のシーンも
1段階で終了させている。

しかし、田中壮太郎が熱演、
あんだけカットしたのに
サイコ感バリバリでている。

そうこの映画、生徒役を新人に演じさせ、
脇役をしっかりとした俳優で固めることで
質を高めている。正直生徒役の何人かの
演技が下手(特に泣くシーン)なのだが、
黒木華や小日向文世、松重豊といった
脇が上手すぎて見事にステルス化
されている。

徹底した映像美

テレビドラマでもよかろうと
思う内容を何故映画版にしたのか?
前編ヒットしなければ後編自動的に
アウトな危険な賭けにどうして
出る必要があったのか?

それは映像を観て納得した。
徹底した色の使い分け。
1990年代の話故に、
一昔前の粗い質感、
白銀のクリスマス描写の徹底、
フラッシュバックをザラザラ
ショットにするなど、
場面場面で映像の質を
チェンジさせている。

随所にこだわりのショットが多く、
コレは低予算テレビドラマじゃ
出せない。しかも、この映像の質感
が謎解き、原作カットに大きな
貢献しているだけに納得。

ってかちゃんと「映画館で映画を観ている」
感じを演出しきっていた。

新人俳優の演技がすんげ~

結構、重要人物の生徒役の
演技は上手いが今回ブンブンは
石井杏奈の演技に圧倒された。
一万人オーディションから選ばれた
石井杏奈(「だいじょうぶ3組」の子役)
がこの作品で汚れ役を
演じているのだが、
ホラー映画張りに
存在感を出していて怖い。
ニキビっ面が
コンプレックスの陰キャラ、
事件の鍵を握る女って役なのだが、
突然泣いているのか笑っているのか
怒っているのか
分からないうめき声を出したり、
ヤンキーにリンチされたりと過酷なシーン
だらけ。しかし、これは早くも日本アカデミー賞や
キネマ旬報の新人女優賞候補だろうってぐらい
上手かった。
しかも、ニキビが消えたら可愛いんだろうなー
って面影まで魅せてらっしゃる。恐るべし!

彼女の演技の怪しさ、ファムファタール臭で
「ここはどういった意味があるのか?」
と深読みしてしまうほどだ。

後編は4/11公開。メッチャたのしみや!
できれば、映画観てから原作読んで
抜けた穴を埋めるのをオススメするよー
「ソロモンの偽証」予告編

1 個のコメント

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