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2021映画

『みんなのヴァカンス』ギヨーム・ブラックは『おおかみこどもの雨と雪』がお好き

夏ですね、大人も夏休みですね。夏といえばバカンス映画ですね。数週間の休暇を取る文化があるフランスでは、毎年のようにバカンス映画が量産されている。カイエ・デュ・シネマの批評家もバカンス映画には目がなく、年間ベストにねじ込む傾向がある。さてエリック・ロメールはもはやおらず、ジャック・ロジエも映画を作らなくなってしまった時代のバカンス映画のスター監督は誰か?恐らく、ギヨーム・ブラックだろう。彼の作品は、ジャック・ロジエ映画に登場する女々しい男の目線でナヨナヨしたバカンス映画を撮る傾向がある。この気持ち悪さが癖になる監督だ。さてそんな彼の新作『À L’abordage』。フランス語で、「搭乗」、「偶発的な衝突」、「船が海岸に近づく行為」を示す言葉とのこと。ワンナイトラブをしてすっかり惚れ込んだ男が、彼女のいる場所に近づく。一緒について行った友人が別の女と邂逅、親密になると言う内容を暗示したタイトルになっているのであろう。ということで観てみました。