『アスペン』スキーリゾート地の裏側

アスペン(1991)

監督:フレデリック・ワイズマン

評価:75点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

MUBIにてワイズマン追悼特集が始まった。驚くべきことに、従来海外ルートでも全く配信されてこなかった2000年代以前のワイズマン映画が大量に配信されて嬉しい状況となっている。観たかった『アスペン』があったので鑑賞した。

『アスペン』あらすじ

1967年のデビュー以降、現代アメリカ社会を独自の視点で見つめ続けてきたドキュメンタリー作家フレデリック・ワイズマン監督が、スキーリゾート地としても有名なコロラド州アスペンの街のさまざまな側面をとらえたドキュメンタリー。19世紀には銀鉱山として栄え、現在は風光明媚な観光リゾート地として知られるアスペンは、その成り立ちゆえに自然と人工物、泥まみれの鉱夫と洒落たウェアで滑走するスキーヤーなど、さまざまな対立した文化が存在していた。2011年、ワイズマン監督作を一挙上映する「フレデリック・ワイズマンのすべて」にて日本初公開。

映画.comより引用

スキーリゾート地の裏側

スキーリゾート地に来る者と地元民との関係。それはある種の植民地主義的な側面がある。観光客は、自らの領域を離れ匿名的他者として自らと異なる領域を娯楽として堪能する。一方で地元民からすると外から侵略されているように感じる一方で、地元の収入源だったりする。こうしたことは、円安によって傲慢な観光客が徘徊するようになった今の日本に住む者からすると理解が容易に思えるであろう。こうした慣行を巡るパワーバランスを撮る時、どうしても外なる存在を露悪的に描きがちだが、ワイズマンは違う。スキー場を舞台にしながら映画の大半はそれ以外の活動へと眼差しを向けている。特に興味深いのは、整形手術の講義について時間を割いているのだ。また、読書会のシーンにも力を入れている。銀鉱山として栄えて観光リゾート地へと変わったアスペンの多層的な歴史と対立的でありながら共存した領域を文化人類学的等価なものとしてイメージに収める。そのアプローチに惹き込まれたのであった。