『世界の果てまで3キロ』2つの閉空間

世界の果てまで3キロ(2024)
原題:Trei kilometri până la sfârșitul lumii
英題:Three Kilometres to the End of the World

監督:エマニュエル・パルヴ
出演:ローラ・ヴァシリウ、アドリアン・ティティエニ、ボグダン・ドゥミトラケ、ヴァレリウ・アンドリウツァ、チプリアン・キウデアetc

評価:60点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

EUフィルムデーズ2026にて2024年のカンヌ国際映画祭コンペティション作品『世界の果てまで3キロ』が上映される。ポール・シュレイダーやデヴィッド・クローネンバーグよりも先にエマニュエル・パルヴの作品が日本に上陸するのが意外であった。確かにEUフィルムデーズは過去にエマニュエル・パルヴの『マッチ棒くずし』を上映したことがあるのでラインナップにいるのは当然だと思うのだが驚かされた。実際に観たのだが、典型的なルーマニアの閉塞感ものであった。

『世界の果てまで3キロ』あらすじ

Set in a conservative Danube Delta community, a gay teenager’s journey of self-discovery clashes with the traditional values upheld by his parents and neighbors.
訳:保守的なドナウデルタのコミュニティを舞台に、ゲイのティーンエイジャーが自己発見の旅をする中で、両親や近隣住民が大切にする伝統的な価値観と衝突する。

IMDbより引用

2つの閉空間

17歳の男アディが殴打されるところから始まる。金貸しから殴られたらしい。その金貸しはアディが男と愛撫を交わしていると主張したことから警察、司祭、家族はアディを疑うようになる。本作は、ルーマニアの田舎町をリミナルスペース的に撮影している。人の気配が希薄な開けた通りに人をぽつんと配置することで監視されているような感覚、開けているけれども閉鎖的な空間を表現している。そして、村人たちの疑いの眼差しが室内の仄暗い閉空間にて暴力的な形となり現出する。外のタッチは『おんどりの鳴く前に』だが、中はムンジウをはじめとする陰惨なルーマニア映画の暗さとなっている。映画としてはもう少し捻りが欲しいところであったが興味深い一本となっている。