Flies(2026)
監督:フェルナンド・エインビッケ
出演:テレシータ・サンチェス、バスティアン・エスコバル、ウーゴ・ラミレスetc
評価:70点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
第76回ベルリン国際映画祭にてエキュメニカル審査員を受賞した『Flies』を観た。監督のフェルナンド・エインビッケは日本では『ダック・シーズン』で知られている監督である。『レイク・タホ』が東京国際映画祭で上映されたことがあるのだが、それ以降は寡作かつ日本公開されておらず、『Club Sándwich』以降13年ぶりの新作となっている。実際に観てみると、手堅いシネスイッチ銀座系ホッコリ子ども映画といった印象を受けた。
『Flies』あらすじ
When Olga has to rent out a room in her apartment to a father, she forms an unlikely bond with his nine-year old son when, unexpectedly, their lives become intertwined.
訳:オルガは自分のアパートの一室をある父親に貸すことになり、父親の9歳の息子と思いがけない絆が生まれ、思いがけず彼らの人生は絡み合うことになる。
ハエと大家とインベーダーゲーム
映画は手術費を稼ぐためにオルガは大家としてアパートの部屋を貸すことになったおばちゃんが主人公である。『ジャンヌ・ディエルマン』のごとくルーティンワークをこなす彼女だが、部屋に迷い込むハエに苛立ちを募らせている。そんなある日、親子が部屋を借りようとやってくる。オルガは「一人部屋」として貸しているのに、こっそり子どもを泊めていることを察知し、追い出そうとするのだが、父トゥリオが妻の薬代を稼ぐために働かなくてはいけず、オルガが子どもの面倒をみる羽目となる。
本作は子どもと第三者の心の交流というオーソドックスな物語ながら手堅く要素を繋ぎ合わせユニークな一本へと仕上げている。冒頭のハエの要素はテオレマものである象徴として映し出される。退屈なルーティンの中に紛れ込んだ異物としての子ども。それがインベーダーゲームを通じて繋がる点が興味深い。少年クリスチャンは、近所の筐体でスペースインベーダーゲームに熱中している。執着するように高得点を目指している。オルガもまた、退屈しのぎに数独をしている。退屈さを紛らわすためのゲームが互いを繋いでいく。そして、主となるゲームが外からの異物を倒していくインベーダーゲームであるのだ。排除と受容を織り交ぜながらシリアスな内容を飄々とオフビートに包むフェルナンド・エインビッケの技術力の高さに感銘を受けた。









