ARCO/アルコ(2025)
監督:ウーゴ・ビアンヴニュ
出演:Margot Ringard Oldra、Oscar Tresanini、ナタナエル・ペロット、アルマ・ホドロフスキーetc
評価:65点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
第98回アカデミー賞長編アニメーション賞にノミネートされているフランス映画『ARCO/アルコ』。虹色のヒーローを模した強烈なビジュアルからの印象とは異なり、フランス国内外で高く評価されている。フランスの映画情報サイトAlloCinéのプレス平均星評は当記事執筆段階で4.1/5.0点と高得点を叩き出し、フランス老舗雑誌カイエ・デュ・シネマは「古典的なアメリカのSFを彷彿とさせるレトロフューチャリスティックなスタイルで、感傷と真剣さを同等の強さで爆発させます」と高く評価している。
イラストレーター、ミュージックビデオ監督として知られるウーゴ・ビアンヴニュ初長編アニメである本作は、Antoine Kogutの楽曲「Sphere of existence」のMVを制作した際に生み出したロボット《ミッキー》が基となっている。
漫画版を制作するなかでパリ・オペラ座とコラボすることとなり脚本家のフェリックス・ド・ジブリと組むこととなる。その縁もあって、ウーゴ・ビアンヴニュは映画を作ることを考えるようになる。当初は劇映画にすることも考えたのだが、制作費が高くつくため、アニメで映画を作るにいたった。資金調達する際には、俳優のナタリー・ポートマンや『ライトハウス』『アド・アストラ』などのアート映画の製作を行っているソフィー・マスの手も借り映画を完成させることができたとのこと。
海外のレビューを読むと、ジブリアニメとの比較がされる本作。実際にウーゴ・ビアンヴニュ監督は幼少期に観た『ドラゴンボールZ』に衝撃を受けて絵を描き始めたと語っている。それだけに日本のアニメからの影響を強く受けている。
そんな『ARCO/アルコ』は2026年4月24日(金)より公開となる。試写で一足早く観させていただいたのでレビューをしていく。
『ARCO/アルコ』あらすじ
En 2075, une petite fille de 10 ans, Iris, voit un mystérieux garçon vêtu d’une combinaison arc-en-ciel tomber du ciel. C’est Arco. Il vient d’un futur lointain et idyllique où voyager dans le temps est possible. Iris le recueille et va l’aider par tous les moyens à rentrer chez lui.
訳:2075年、10歳の少女アイリスは、虹色のスーツを着た謎の少年が空から落ちてくるのを目撃する。それはアルコだった。彼はタイムトラベルが可能な、遥か未来の楽園からやってきた。アイリスは彼を保護して、故郷へ帰れるよう全力を尽くす。
虹色の未来人降臨
時は2075年、気候変動が進む世界。10歳の少女イリスはある日、虹色のマントを纏った少年を見つける。好奇心旺盛な彼はタイムトラベルができる虹色のマントを纏って冒険に出ようとするも事故によってこの時代にやってきた未来人だったのだ。親とは疎遠で、ホログラム越しに会話し、お世話はロボットに任されているため生身の人間との対話に飢えていた彼女はこの少年「アルコ」と親密な関係になるのだが、追手がふたりの近くに忍び寄る。
本作は『ピーター・パン』『ふしぎの国のアリス』『バンビ』などで描かれる、生と死を前に子どもの知性が現出するアニメ作品からインスパイアを受けており、子どもたちは想像以上に賢いことを描こうとしている。また制作当時、突然町が業火に覆われる場面は「デウス・エクス・マキナだ!」と言われたのだが、ロサンゼルスの山火事がニュースになり、アクチュアルな自然環境問題へ言及した作品となっている。
子どもたちは複雑で非ユークリッド的な時間のうねりを感覚的/感情的に理解する。そして、大人からすると絶望的に思える場面でも前へ前へ進もうとする。厭世的な世界の中でアルコとイリスは結びつき《Arcoíris(虹)》となるのである。
牧歌的なヨーロピアンアートアニメに思わせておいてドンドンと絶望的な展開へ転がっていき、なお希望を抱こうとする。大人が子どもに魅せるべき責任を本作は果たしている。
日本公開は2026年4月24日(金)











