とれ!(2026)
監督:コウイチ
評価:40点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
近年、YouTuberが映画監督を務めるケースがある。特にA24は『マルセル』『トーク・トゥー・ミー』など積極的にYouTuber映画を紹介しているのだが、日本からはコウイチtvがこの波に名乗りを挙げた。彼は「勝手に〇〇月を運営している人」シリーズやじゃんけんをソシャゲのアプデ情報解説者のように語る動画など短編コメディ動画を作っていることで知られるが、かつてはゴリゴリに凝った編集の物語動画も投稿していた。そんな彼の長編初監督作品『とれ!』を観たのだが、非常に歪な一本であった。
『とれ!』あらすじ
短編映画「最悪な1日」「消えない」で注目を集めた人気YouTuberのコウイチが長編映画初監督・脚本を手がけ、「神様」という謎の存在にとり憑かれた高校生の心霊動画が巻き起こす恐怖を描いた青春ホラー。
高校3年生の佐藤美咲は、母子家庭で親に負担をかけたくないため進学はせず、地元で就職しようとアルバイトをしながら高校生活最後の日々を過ごしていた。親友の橋本皐月は親の希望で大学進学を目指しているが、SNS投稿に夢中になっている。そんなある日、美咲が撮ったVlogに霊のようなものが映り込み、瞬く間にバズっていく。これをチャンスと考えた2人は心霊のフェイク動画を次々と投稿し、広告収益を得るようになる。調子に乗った2人は、さらなる刺激を求めて地元で噂の廃墟に潜入するが、ついに取り返しのつかない「本物」が映り込んでしまう。さらに、廃墟撮影の道中で地蔵を拝んだ美咲は、和装でお面のような顔をした「神様」に憑かれてしまう。
「蔵のある街」の中島瑠菜が美咲役で長編映画単独初主演を務め、親友・皐月役でまいきち、霊能者・浅野斗真役で和田雅成、皐月の母・未映子役で宮地真緒、美咲の母・雅美役で奥菜恵が共演。
歪すぎるホラー青春もの
本作は凝ったことをやろうとするコウイチと娯楽ホラー映画を求める製作陣との嚙み合わせが悪かったように思える。映画は、母子家庭のJKがSNSでバズろうとする過程で廃墟にて霊的なモノに憑りつかれるといった内容。短編映画『消えない』に引き続き、霊的な存在は語り掛けることはなく、その場にいるだけである。呪い系のホラーになるのかと思いきや、映画はSNSでバズって大学進学を目指そうとする青春ものへと転がる。YouTuberが映画を撮っているためか、SNSの闇的なものには触れず、ポジティブにSNSを捉えている。
吉本のお笑い芸人が撮った作品が総じてコントと映画を履き違えているように、ネタとネタを繋ぐよう引き伸ばされた演出が散見され、物語としてはどこか中途半端である。一方で、スマホの使い方は流石であり、縦画面特有の視野の狭さを効果的に用いた心霊やらせ動画の演出は、確かにバズる説得力を持っていた。また、クローズアップを避け、多層的にヒトを配置するショットが撮れているので、動きのある黒沢清映画みたいなのが撮れたらよかったのかもしれない。











