『シーモア・ハーシュ: 権力の闇に挑む男』衝撃の事実公表の前の壁について

シーモア・ハーシュ: 権力の闇に挑む男(2025)
Cover-Up

監督:マーク・オーベンハウス、ローラ・ポイトラス

評価:60点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

Netflixでローラ・ポイトラス新作『シーモア・ハーシュ: 権力の闇に挑む男』が公開された。ローラ・ポイトラスといえば、『シチズンフォー スノーデンの暴露』 や『美と殺戮のすべて』と暴露系ドキュメンタリーで知られており、取材対象の難易度の高さもそうだが、構成力も比較的高いイメージが有る。今回はジャーナリストのシーモア・ハーシュに迫った作品であった。

『シーモア・ハーシュ: 権力の闇に挑む男』あらすじ

男は、権力者が隠そうとした物語を暴くことに生涯をささげた。ソンミ村ミライ集落からアブグレイブ刑務所まで、ジャーナリストのシーモア・ハーシュのライフワークに迫る。

※Netflixより引用

衝撃の事実公表の前の壁について

この企画はもともとシーモア・ハーシュ自体によって反対されていた。ローラ・ポイトラスが彼に迫ったドキュメンタリーを作ろうとしたところ、リスクになると判断されたからだ。ジャーナリストにとって有益情報を得られるかどうかは信頼とリスクのコントロールにかかっており、ドキュメンタリー映画でメディアの闇が暴かれることは危険が伴う行為だったからだ。頓挫仕掛けたドキュメンタリー製作だったが、彼がソンミ村虐殺に関するドキュメンタリーをマーク・オベンハウス監督と撮ろうとしたところ資金不足に陥り、彼女が手を貸すことによってこの企画は実現した。

それを踏まえてみると、シーモア・ハーシュが正義のためにどのように立ち回っているのか、その特性ゆえにこの撮影がどれほど緊張感あるものかが伝わってくる。ローラ・ポイトラス監督は『シチズンフォー スノーデンの暴露』 で培ったギリギリを攻める撮影に長けている。そのため、ハーシュが「キミらは知りすぎた」と言い始めた段階で撮影を止める選択を与えるチームプレイが自然と行う体制となっている。

映画では『大統領の陰謀』を引用しながら、メディア内部にいるものが構造的に悪へ転がってしまう中、どのように立ち回ったらよいかの葛藤へと切り込んでいっており、ジャーナリストとして複雑な政治戦を切り抜けた先でのみ真実が報道される様を我々に突きつけてくる。スペクタクル的に制作していないため、物足りなさはあるかもしれないが重要なことを撮っている。