『官能の女神たち/ディーヴァ・フトゥーラ』自由を求めて作って撮って対立して

官能の女神たち/ディーヴァ・フトゥーラ(2024)
Diva Futura

監督:ジュリア・シュタイガーヴァルト
出演:ピエトロ・カステリット、バルバラ・ロンキ、デニス・カペッツァ、Lidija Kordic、テサ・リトバンetc

評価:80点

おはようございます、チェ・ブンブンです。

イタリア映画祭で評判が高かった『ディーヴァ・フトゥーラ』が邦題『官能の女神たち』で配信されていたので観た。確かに、これは面白い一本であった。

『官能の女神たち/ディーヴァ・フトゥーラ』あらすじ

女性監督スタイガーウォルトの長編2作目は、1980年代から90年代のポルノ業界を駆け抜けた一人の男と彼のディーヴァたちの成功と破綻を描く。エージェンシー「ディーヴァ・フトゥーラ」を運営するリッカルド・スキッキは、自由恋愛の名のもと、ポルノを通じて大衆文化に革命をもたらそうとした。スキッキはモアナ・ポッツィやチッチョリーナなどのポルノスターを生み出し、商業的に成功を収める。ディーヴァたちは政治の世界にも進出し、リッカルドたちの夢は叶ったかのように見えた。ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門出品。

※イタリア映画祭より引用

自由を求めて作って撮って対立して

本作はイタリア版『ブギーナイツ』と言われているだけあって飽きさせることのない編集によるドライヴ感で130分駆け抜けていく内容である。フレームの外側に死がある場面から始まり、怒涛のように華やかな「栄」の顛末を語っていく。劇場と結託して表現の自由のためにポルノ映画というフレームを用いる。事務所は大きくなり、社会との関りが強くなる中で折り合いがつかなくなってくる。最近だと、VTuber業界が創業時の混沌とした感じ、イカれた人たちが表現の自由を片手に大暴れしていったが、VTuber文化が社会認知され一般化、会社も株式会社として多くのステークホルダーとの関係を強化する中で昔と同じようにはできなくなり、静かに凋落していく様と重なる部分があって、観ていて切なくなってきた。その切なさを際立たせるように華やかで勢いに任せた活動を描き、なおかつポルノ業界の話にもかかわらずMale-gazeを回避したような画作りに圧倒されたのであった。

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