フランシスカ(1981)
FRANCISCA
監督:マノエル・ド・オリヴェイラ
出演:ディオゴ・ドリア、パウロ・ローシャ、テレザ・マドルーガ
評価:50点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
アテネ・フランセのマノエル・ド・オリヴェイラ特集で長年探していた『フランシスカ』を観ることができた。カイエ・デュ・シネマがオリヴェイラを注目し始めた最初の一本であるのだが、『アブラハム渓谷』の原石といった感じで粗削りな一本であった。
『フランシスカ』あらすじ
「挫折した愛」の第4作。『アブラハム渓谷』の脚本家アグスティーナ・ベッサ=ルイスの小説「ファニー・オーウェン」をオリヴェイラ自身が脚本を書いて映画化。小説家カミーロ=カステーロ・ブランコを語り手に貴族ジョゼ・アウグストの異常な愛を描く本作品は、撮影監督であるマリオ・バローゾが主演者の一人カミーロを演じており、後にカミーロの最期を描く『絶望の日』でも撮影=主演として参加している。本作はカメラに向かって話すなどの「上演の映画」の特徴のほかに、ブニュエルやベルイマン『ペルソナ』を思わせる反復や、黒澤明の『羅生門』を思わせる技法で撮った森の馬の疾走シーンなど、随所に時の感覚を壊そうとする演出も散見される。
※アテネ・フランセより引用
クズ男の心象世界
本作はベルイマン『仮面/ペルソナ』のように分身たる2人の会話によって進行する作品である。背景がセットによる油絵であることが多く、現実ではない空間が意識されているのだが、それが唐突に破られるところに面白さがある。たとえば、クズ男2人がオペラ座で立ちながら大声で語る場面がある。群衆は彼らを意識しないようにステージへと目を向けており背景と同化している。これはクズ男の心象世界なのかと思っていたら、背後から「しっ!」と声が頻繁に入り始め、これが現実であるとわかるのである。また、本作は『過去と現在―昔の恋、今の恋』に引き続き天丼ギャグをしてくる。屋敷の中を「日常」がごとく馬で突撃してくるのを複数回行うのだ。このように今回もギャグ路線の強いオリヴェイラ作品であったのだが、この段階では文学から映画になり切れていない感触が強く2時間40分の尺は厳しいものがあった。













