マリア・ヴィトリア(2025)
Maria Vitória
監督:マリオ・パトロシニオ
出演:マリアナ・カルドーゾ、ミゲル・ボルジェス、ミゲル・ヌネスetc
評価:50点
おはようございます、チェ・ブンブンです。
第38回東京国際映画祭コンペティション作品『マリア・ヴィトリア』を観た。
『マリア・ヴィトリア』あらすじ
ポルトガルの山岳地帯の町に暮らすマリア・ヴィトリアは、プロのサッカー選手を目指して、父をコーチとしてトレーニングに励む日々を送っている。そんな彼女の日常は、母が亡くなった後、家を出て何年も消息を絶っていた兄が突然戻ってきたことにより大きく揺さぶられる。兄と激しく対立する父の姿を見るにつれ、マリアはそれまで大きな存在だった父の権威に疑念を抱きはじめる。そして、マリアにとって重要な試合の日がやってくる。父の呪縛から逃れて、自力で未来を開拓しようとするヒロインを力強く描いた作品。親子3人の濃密なドラマが美しい風景の中で展開する。幼少期を熊本県で過ごしたというマリオ・パトロシニオの監督デビュー作。
※第38回東京国際映画祭より引用
群にいるような不在
本作はいわゆる毒親もので、この手の映画にありがちな仄暗いライティングを主としているので、この時点でマンネリ、退屈、嫌な予感が漂うのだが、機能不全な家族を象徴させる構図に注目すべきものがある。
主人公の女は父から1 by 1でサッカーのスパルタレッスンを受けている。どうやら選抜に選ばれるよう父は奮闘しているようだ。しかしながら、チームワークのスポーツであるサッカーを物語の中心に収めながらも、メンバーとの関係性や試合はほとんど映されることはない。
これは群に所属しながらも、その群は崩壊し、個の存在となってしまっていることを示しており、その観点を家族の肖像にパスするトリッキーさを有している。
このアプローチ自体は面白かったのだが、全体的にぼんやりとした作品感を拭い去ることができなかった。













